日本化薬は、高分子ミセル化抗癌剤「NK102」の第II相試験を米国でスタートさせる。難治性乳癌のセカンドラインを対象とし、既に施設選定が最終段階に入っている模様で、今年春頃には第II相試験を開始できる見込みだ。国内では、対象癌種を検討している段階で、セカンドラインを目指して第II相試験の準備を進める。
NK102は、抗癌剤カンプトテシンの活性代謝物を高分子ミセルに封入したDDS製剤。2006年1月から国内第I相試験、07年1月から米国で第I相試験を進めてきたが、昨年末には第I相試験を良好な成績で終了したことから、難治性乳癌のセカンドラインを対象に、米国で先行して第II相試験の準備を進めてきた。国内においては、セカンドラインの適応癌種を検討している段階で、第II相試験の開始が遅れる模様だ。
また、胃癌のセカンドラインを対象に、国内第II相試験中の高分子ミセル化パクリタキセル「NK105」は、予定症例数の8割まで集積が進んでおり、同社は今年の早い時期に症例登録を完了したいとしている。
一方、開発が先行していた高分子ミセル化ドキソルビシン「NK911」は、膵臓癌を対象とした国内第II相試験が進められていたが、これまで期待した効果が得られていないのが現状だ。
同社は、12年5月期以降の持続的成長に向け、コア事業の中核に医薬事業を位置づけ、高分子ミセル化抗癌剤への重点投資を打ち出している。中期目標では、高分子ミセル化抗癌剤の上市を13年度に予定しているが、現状では順調に臨床試験が進んでいる「NK102」が上市第一号となる可能性が高くなってきた。