第54回日本薬剤師会学術大会
座長
日本薬剤師会常務理事
富永孝治
福岡県薬剤師会副会長
宮谷英記
セルフメディケーションを推進する動きが強まっている。このような状況に対して、国民は医薬品に対する正しい知識を得ることが求められ、中高生には医薬品の適正使用に関する基礎知識の定着を目指す「くすり教育」が実施されている。本分科会では「くすり教育」と「薬物乱用防止教育」の両面から、学校薬剤師が今やるべき役割について掘り下げたい。
「健康・安全に向けた薬育と学校薬剤師への期待」として文部科学省初等中等教育局健康教育・食育課の小出彰宏健康教育調査官による基調講演では、医薬品に関する教育が行われた割合は中学校で57.8%、高等学校で65.1%であり中学校で医薬品に関する教育が始まって約10年になるが、全ての中学校、高等学校で実施されていないことの原因などについて講演いただく。
次に「薬物乱用の現状と薬物乱用防止教育―大麻等について―」として愛知県学校薬剤師会の木全勝彦代表理事に薬物乱用防止教育について、従来型の薬物乱用の恐ろしさを強調するのでなく、なぜダメなのかを医学、薬学および法律との関係性など総合的な正しい情報を青少年に伝え、自ら考えさせることや、身近な医薬品、医薬部外品、食品(清涼飲料水等)等の不適切使用等について講演いただく。
次に「子どもたちの健康のためのくすり教育」としてくすりの適正使用協議会の俵木登美子理事長から同協議会が行っているくすり教育の支援について、くすり教育のための各種教材を作成提供、授業に活用できる模型などの貸し出し事業、くすり教育を行う先生方を対象とした、授業の構成例や活用できる各種資材の紹介などを行う出前研修など、学校薬剤師の活動を支援されている現況等について講演いただき、最後は討論会を行う。
本分科会を通じ、学校薬剤師の「くすり教育」が児童、生徒、学生の生涯を通じ、自分の健康と病気の治療に役立てることの出来る力を養う教育になるものと確信している。
(宮谷英記)