発言する中村秀一理事長
社会保険診療報酬支払基金の中村秀一理事長は27日の定例会見で、電子レセプトの割合が2008年10月に全体の5割を突破したことを受け、4月からの義務づけで急速にオンライン請求が普及するとの見通しを示した。調剤についても「まだ少ないが、急速に進むと思われる」との見方を示した。
支払基金の受け付けた電子レセプトの割合は、08年10月に全体の51・2%と5割を超え、12月には54・5%に達した。このうちオンライン請求は10月時点で全体の12・8%だったが、12月には18・4%と急速に普及し始めている。
ただ、病院、診療所、調剤の種別ごとに、10月時点での普及状況(件数ベース)をみると、最も普及している400床以上の病院では94・7%に達しているが、400床未満の病院は30%、診療所は5%に満たず、調剤は10%を若干上回った程度だ。
オンライン請求については、レセコンを使用している調剤薬局は、この4月から義務化され、11年からは原則、全ての病院、診療所、歯科医院、調剤薬局ともに義務化されることになっている。
医療機関のレセプトオンライン請求義務化をめぐっては、一部医師グループが国を相手に義務化に反対する訴訟を起こしているが、中村氏は「裁判の場で判断されることで、コメントする立場にはない。しかし、厚生労働省令上で規定されていることであり、ITの活用により、審査の透明性確保など、国民から見える審査制度への要請は強いと認識している。われわれは審査支払い業務を通じて、医療の信頼性、透明性、公正性を高め、わが国医療の向上に貢献していきたい」と語った。