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【遠言近言】意外と多い乳癌術後後遺症の痛み、最近は「乳房切除後疼痛症候群」と呼ばれる‐廣田彰男

2006年3月27日 (月)

廣田彰男(広田内科クリニック院長)

 最近、リンパドレナージュと共にリンパ浮腫という疾患が時々聞かれるようになりました。先天性もありますが、そのほとんどは乳癌、子宮癌などの術後の後遺症として現れます。

 転移を防ぐ目的でリンパ節を切除したためにリンパの流れが悪くなり各々腕や脚にむくみが出てきます。切除しても多くの場合代わりのリンパ管、バイパスができるのでむくみません。そのため外科の先生は安心して切ってしまうのですが、実は手術した4人に1人はむくむと言われています。バイパスの力は所詮元のリンパ管より劣るため、過度な負担がかかると耐え切れないのです。

 命が助かったから良いじゃないか、という考えが優先しますのでどうしても術後の後遺症には十分なフォローがなされてきませんでした。ですが、最近、特にこの506年、徐々にリンパ浮腫が知られ始めてきました。30年も前はちょっと新聞や雑誌で取り上げられてもすぐに消えました。何度かそんなことがあるうちに最近は大きな病院でリンパ浮腫外来が置かれるようになり、いささか感慨深いものもあります。

 リンパ浮腫の治療の基本は「複合的理学療法」と言って、むくんでいる腕や脚のリンパドレナージュや弾性スリーブ・ストッキングによる圧迫が大切であるとされています。薬や注射、手術など医療らしいものはあまりありません。

 また、知られてきたとは言っても保険適応はまだほとんどありません。そのため、保険医療機関で行うことは通常困難ですので、看護師や理学療法士などが医療機関内でボランティア的に対応したり、もしくはあんま・鍼灸・マッサージ師などがリンパドレナージュを中心に施療したり、まだまだ十分な対応がなされているとはいえません。ちなみに医者の出る幕はあまりありません。

 乳がん術後のリンパ浮腫の患者さんの中にはよく腕や肩、腋の痛み、しびれ、腕が動かないなどの症状を訴える方がいらっしゃいます。患者さんからすれば、腕がむくんでいるからしびれる、痛い、動かないのではないかと思ってしまうようです。ですが多くの場合これは、むくみはリンパ浮腫、しびれ、痛みは知覚神経、動かないのは運動神経、及び手術瘢痕によるひきつれが影響しています。

 このような状態を最近、「乳房切除後疼痛症候群」と呼んでいます。この用語自体あまり知られていませんが、患者さんには説明しやすい、理解しやすい言葉です。本来、リンパ系と浮腫の専門家であるはずの私のクリニックは、すっかり術後後遺症に悩む患者さんの駆け込み寺のようになっています。




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