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【遠言近言】患者に学んで一人前!6年制の薬学教育が始まる‐星恵子

2006年3月20日 (月)

星恵子(昭和薬科大学教授/聖マリアンナ医科大学客員教授)

 先日、ある学会誌の編集会議に出席した時の会話である。「どう、薬学部は忙しいですか?」 「今年から6年制の学生さんが入ってくるので、4年制と6年制のカリキュラムの調整やCBT(computer-based testing)の試験問題作成等々でとても忙しくしています。」 「そー、薬学も6年になるんだ。前にそんな話を聞いたことがあったけど、今年からなんだ。大変だね!」。

 また、別の研究会に出席した折にも、今年から薬学部が6年制になることを話したが、そのことを知る人はほとんどいなかった。医師にとって一番身近な存在である薬剤師が、その資格を取るのに6年間の教育を受ける必要があることを余りにも知らないことに愕然としたが、以外と知る機会が少ないらしい。薬学界からもっとPRしなければいけないのだろう。

 それにしても、薬学部の増設・新設ラッシュである。少子化が社会問題となる中、そんなに薬学部ができていいのだろうか。増設や新設には莫大な費用がかかるが採算はとれるのであろうか。私如きが心配することではないが、ついつい心配してしまう。どの大学の教員も学生を確保するために、いかにして特色ある魅力ある大学にしようかと腐心しているのにである。

 また、薬剤師を量産して、将来、就職する病院や薬局が確保されるのだろうか。無責任な結末に終わるのではないだろうか。その点、厚労省と文科省で意思の疎通が図られているのだろうか。本当にいろいろと考えてしまう。

 患者からの距離を考えてみる。医師や看護師は患者から近いところにいるが、薬剤師は少し離れたところにいる。しかし、6年制教育では、薬剤師も患者と直接向き合いながら医療に参加することを目指している。

 薬剤師の薬に関する知識は、医者と比べようもなく広く深い。しかしながら、臨床で十分生かされていない。その理由の一つは、患者から学ぶ機会が少ないからだと思う。患者からの距離の問題である。医療現場にいると分かるが、教科書通りの患者はほとんどおらず、同じ病気でも患者一人一人で異なる。よって、治療も教科書通りにはいかないことを医者は日々数多く経験している。これからは、薬剤師も病気のことを多く学び、いろいろな経験を積んでいくことが実力になり自信となっていく。言い換えれば、医師同様、薬剤師も患者からいろいろなことを学んではじめて一人前の薬剤師に育っていくことになる。

 新たな6年制の薬学教育が順調に進めば、これまで、持てる知識が生かされない、生かせなかった薬剤師と、薬剤師の知識を活用してこなかった医師とが融合することになり、もっともっと安全で安心できる医療が提供できる。本当に素晴らしいことだと思う。




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