保科清(山王病院小児科上席部長)
まもなく入園・入学に時期になります。
この時期は、お子さんの成長を本当に実感できる時期でもあります。
本当におめでとうございます。
お子さんの入園・入学の日が近づくにしたがい、ご両親の方が落ち着かなくなります。それは「もう幼稚園に行くのだから、もっとこうしなさい」とか「小学生になるのだから、しっかりしなければ」とか、毎日、小言のように言い続けるのです。親にとっては、自分のお子さんが集団生活の中で普通の子として生活できるようになって欲しいのでしょう。
悪いことではありませんが、お子さんは段々と憂鬱になってしまいます。
子どもにとって楽しいはずの入園や入学が、次第に面白くない、できるなら行きたくない場所になる可能性があります。
今までは他のお友達と元気に遊べていたのに、今度は勉強をしなくてはなりませんし、行動についても親がこうしろ、ああしろとうるさく言い続けるので、自分のしたいこともできなくなります。
入園や入学は、楽しいことでなければいけません。
親が、他のお子さんと仲良くでき、集団の中で自分の子だけ除け者にならないためなどと考えて口に出す言葉が、逆に自分の子どもを萎縮させてしまっていることもあります。子どもを萎縮させた上に、夢を壊すような言動をするから、子どもはおとなしい良い子のふりをして、心の中では親に対する反抗心を芽生えさせてしまうのです。
最近の少年は、反抗心のもって行き場がなくなった結果として、キレやすくなっているともいわれています。
お子さんは、環境に適合しつつ成長するに従って、自分で判断し行動できるようになるものです。ご両親の思うようには育ってくれないのが、子どもです。
ご両親も、もっと気楽な気分になってお子さんの成長を喜びつつ、お子さんをもっとのびのび育ててみたらいかがですか。