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【薬局業務の効率化と質的向上を目指して】梅ヶ丘薬局東向日店(ユヤマ)

2025年07月30日 (水)

錠剤一包化業務を自動化‐患者フォローの時間確保へ

福田氏

福田氏

 近年、高齢化に伴い、一包化調剤のニーズが徐々に高まりつつある。そうした中で薬剤師の対物業務の効率化に向けて、錠剤分包機を導入する薬局も少なくない。京都府南部地域で3店舗の薬局を展開するTHERAPEUTIC PHARMACY(代表福田幸彦氏)の梅ヶ丘薬局東向日店も、そうした薬局の一つだ。昨冬、ユヤマの小型錠剤分包機「MINDOSE-8(ミンドーズエイト)」を導入したことで、錠剤一包化など対物業務に費やされていた薬剤師のマンパワーが削減でき、対人業務に時間を多くかけられるようになり、調剤ミスを減らすことにもつながったという。

 同店は阪急電鉄東向日駅から徒歩5分ほどの住宅地に立地する。処方箋の応需枚数の増加と共に、一包化調剤のニーズも高まってきたことから、従来の手撒きによる作業を自動化した。同薬局の開設者で薬剤師の福田氏は、「機械の導入によって患者さんと対話する時間を増やすことができた。患者さんとのコミュニケーションを増やして、薬物治療の最適化に貢献していくという薬剤師のコアバリューを果たしていきたい」との思いを語る。

梅ヶ丘薬局東向日店

梅ヶ丘薬局東向日店

 2016年に開局した東向日店は、近隣の内科・消化器科・呼吸器科のクリニックを中心に月600枚ほどの処方箋を応需。当初は、近隣クリニックがこれまで院内投薬だったものを院外処方に変更した直後でもあり、患者の中には、院外処方箋の仕組みを理解しておらず、薬局で薬を受け取ることに抵抗を感じる人も少なくなかった。

 ただその中でも、他業種の経営者など様々な人の話を聞き、経験を積みながら作り上げた「教育」「安全」「感謝」という企業理念に基づいて薬局業務を続けた結果、今では、患者から「医師に直接言えない、薬の不満を代弁してほしい」といった相談を受けるまでに信頼を得ている。

 時間の経過と共に口コミなどで同店の評判が高まり、近隣クリニック以外の患者からも処方箋を応需するようになった。

 開局当初は、最寄り駅からほど近い住宅地に立地していることから、通勤や通学途中に立ち寄ってもらえる薬局を目指していたが、今は月約800枚ほど応需する処方箋の多くが地元住民関係者で、福田氏は「想定とは違ったが、地域の人からも、ここにあって良かったと言ってもらえることはとてもありがたいと思う」と話す。

GS1コード照合の安全設計

ミンドーズエイトを使った一包化業務の様子

ミンドーズエイトを使った一包化業務の様子

 同店では、処方箋枚数の増加と共に、地域住民に比較的高齢者が多い影響もあって、一包化の需要が急増してきた。これまでは手撒きで一包化していたが、業務の効率化を図るために自動化を検討し、ユヤマのミンドーズエイトを導入した。

 同機器は、錠剤の形状に合わせて払い出し口が変化し、様々な薬品の払い出しに対応する「ユニバーサルカセット」(UC)を8個搭載した小型の錠剤分包機。本体サイズは幅60cm×奥行き56.5cm×高さ123cmとコンパクトなので設置場所を選ばない。

 同店には既にユヤマの手撒きアダプター搭載の散薬分包機が設置済みで、オプションでUCを付けることも検討したが、設置スペースの関係からミンドーズエイトを採用した。ミンドーズエイトの第一印象について福田氏は、「とにかく小さいなと感じた」と話す。導入費用も含めて、設置済みの散薬分包機にオプションでUCを付けるより、ミンドーズエイトを新規で導入した方がメリットを感じたという。

 ミンドーズエイトの具体的な一包化の工程だが、まず同機器がレセコンからの処方データを受信すると、UC前面部に付いた電子ペーパーに薬品名や錠数、患者名などが表示される。その情報通りにUCに対象の薬品を投入するが、投入する前に対象の薬品のGS1コードを分包機のリーダーで照合する必要がある。処方データと薬品が一致して初めてカセットのロックが外れるようになっており、誤って異なる薬品を投入してしまうのを防いでくれる安全設計が施されているのだ。ロックが解除されたらUCを取り出して、分包に必要な錠数をまとめて投入する。UCを本体にセットし直すと分包が開始される。

ミンドーズエイト

ミンドーズエイト

 同機器では、三つ先の処方までUCへ割り当てできるため、薬品投入作業をまとめて効率的に行える。ほかにも、オプション機能が充実しており、1/2錠にカットした錠剤を投入して払い出すことができる半錠対応UCや、手撒きマスの6色LEDガイド表示、自動4色ペンライナーも搭載が可能だ。

 同機器の導入後の大きなメリットについて福田氏は「調剤ミスが減ったこと」を強調する。安全設計のUCを使用して錠剤一包化の業務を自動化することにより、人的ミスを減らせたという。手撒き作業の場合でも集中していればほとんど人的ミスは発生しないが、作業の途中で電話や患者対応などが入ると集中力が分散され、ヒヤリハット的なミスは起こり得る。どの薬品まで投入できているかなど、機械が工程を管理しているため、作業に復帰しやすいことは自動化のメリットだ。

 また、福田氏は「患者さんの相談に乗ったり、薬歴を振り返ったり、患者さんのフォローにかける時間が増えた」こともメリットに付け加える。これまでは付きっきりで手撒き作業をせざるを得なかったが、自動化により対人業務に時間を割けるようになったという。

 既設の散薬分包機と2台体制であるため、処方によって使い分けると共に、片方が故障した際の備えにもつながっているという。機器を導入して半年が経過したが、「率直に導入して良かった」と福田氏は評価している。

梅ヶ丘薬局東向日店(ユヤマ)
https://www.yuyama.co.jp/



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