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【薬局業務の効率化と質的向上を目指して】ツカハラ薬局(東邦薬品)

2025年07月30日 (水)

在庫管理にシステム活用‐対人業務集中で職能発揮

 東急電鉄東横線学芸大学駅の商店街に本店を含め三つの薬局を展開するツカハラ薬局(東京都目黒区)は、1950年に設立された創業74年の薬局として、地域住民の健康をサポートしてきた。大病院から開業医まで幅広く様々な処方箋を受け付ける中、薬局での在庫管理に欠かせないのが東邦薬品の薬局本部システム「ミザル」だ。需要予測・来局予測による自動発注や在庫を自動管理する機能によって、医薬品の廃棄ロスなど無駄なコストを削減。薬剤師は患者への対応業務に集中し、健康相談などで職能を発揮できる環境を作り出している。

ツカハラ薬局本店外観

ツカハラ薬局本店外観

 ツカハラ薬局は「より幸せに」「より健康に」「より美しく」に役立つような品揃えを中心に医療における薬局の役割を発揮しつつ、健康増進の手助けをするとの理念を大事にして取り組んできた。

 3店舗の中で本店は薬剤師6人、事務員2~3人が勤務する。1日の処方箋応需枚数は60枚だが、処方箋集中率は20%と大病院から開業医まで幅広く、生活習慣病から精神疾患など様々な患者が来局する。

 これまで地域住民の良き相談相手であり続けた。2代目の代表取締役である塚原俊夫氏は、「患者さんからはご自身のことだけではなく、家族の健康や薬のことについて相談をされる。患者さんのかかりつけというよりは、世代を越えて家族全員の健康をサポートしている」と語る。

 一方で、様々な処方箋、さらに患者一人ひとりの相談に対応するためには対人業務に集中できる時間を作り出すことが必要で、課題を抱えていた。対物中心業務から対人中心業務へのシフトが求められる中、頭を悩ませているのが長期化する医薬品の供給不足問題だ。今もなお、出荷調整や欠品が続いており、薬局は患者への説明などの対応に追われている。

ツカハラ薬局本店

ツカハラ薬局本店

ミザルを在庫管理に活用

ミザルを在庫管理に活用

 医薬品供給問題の対応で心強い味方になっているのがクラウド型である薬局本部システム「ミザル」だ。ツカハラ薬局では、2019年9月から3店舗でミザルを導入し、在庫管理に役立てている。

 ミザルの導入前は、医薬品の空箱をいったんためておいてまとめて注文するという発注方法を取らざるを得なかったが、処方データに基づいた自動発注をすることにより、薬局の業務効率が向上し、様々な無駄なコストを削減できるようになったという。

 患者対応の面でもシステムで在庫管理を行う重要性は大きい。塚原氏は「在庫管理がうまくいかないと、調剤医薬品が不足するということで患者さんに迷惑をかけてしまう。特にメンタルの患者さんは薬が不足することを気にしている。予測発注して、在庫を切らさないようにすることはとても大切」と話している。

 クレーム対応にも安心して使えるのも大きな特徴の一つになっている。調剤した医薬品や患者に渡した医薬品について患者から「数が足りない」とのクレームを受けることもあるが、監査システムと合わせてミザルの在庫数から患者に渡した医薬品を確認できるため、「データをもとに患者さんに話をすると納得してもらえるようになった」とミザルが薬局にもたらすメリットを実感しているようだ。

他店舗の在庫を迅速確認

左から妻の恭子さん、塚原さん

左から妻の恭子さん、塚原さん

 適切な在庫管理で在庫を切らさないようにしつつも、在庫不足が発生してしまった場合は店舗間で医薬品を融通するサポートを行う。通常であれば他の店舗に在庫がないかを電話で問い合わせるが、調剤で忙しい場合には問い合わせを行う余裕もないという状況も起こり得る。

 ミザルではシステム上で他店舗に在庫がないかを迅速に確認できるため、患者に対して在庫のある薬局へとその場で案内することができるようになった。

 一方で、薬局経営面から考えると、過剰在庫や不動在庫は期限切れによる廃棄リスクを高め、無駄なコストを生じさせてしまうことにもなりかねない。適切な在庫管理を行うことで「廃棄ロスを削減して経営効率を高めることができる」としている。

 塚原氏は「ミザルの導入で何よりも重要なのが在庫管理に費やす時間や手間を効率化することで患者とのコミュニケーションに集中できるようになったこと」と話す。

 「対物業務に追われると時間に余裕がないために薬剤師から患者さんに一方的に説明をしてしまっていた。ミザルが対物業務をサポートしてくれることで薬剤師側の焦りがなくなっている。『まず患者さんから話してもらう』『患者さんの声を引き出す』という余裕が生まれるようになった」。患者とのコミュニケーションが深まり、服薬アドヒアランスの向上、健康管理サポートの強化につながっているようだ。

 学芸大学駅周辺も若い世代の人たちが増え、今後目指していくのが地域住民の健康増進支援をツカハラ薬局が担うという姿だ。塚原氏は「若い人たちがふらっと立ち寄って気軽に相談できる薬局でありたい」と理想の薬局に向けて取り組む考えだ。

ツカハラ薬局(東邦薬品)
https://www.tohoyk.co.jp/support-system/mizaru/



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