リフィル処方箋とは、症状が安定している患者を対象に、医師が定めた期間内に最大3回まで繰り返し使用できる処方箋です。制度上は医師が症状の安定等を確認できれば、どの医療機関でも発行することが可能ですが、実際の運用状況は医療機関によって差があります。
リフィル処方箋には通院負担の軽減といったメリットがある一方で、副作用の見逃しなどのデメリットもあります。本記事では、リフィル処方箋の受け取り方法や対象疾患、期限切れの際の対応などを分かりやすく解説します。
※本記事は、2026年7月21日現在の情報をもとに記載しています。
リフィル処方箋とは
リフィル処方箋とは、症状が安定している患者を対象に医師及び薬剤師の適切な連携のもとで、一定期間内に最大3回まで使用できる処方箋です。令和4年度(2022年度)の診療報酬改定で新設された制度で、処方箋を1通発行してもらえば一定の間隔で最大3回まで繰り返し薬を受け取ることができます。
リフィル処方箋では「リフィル可」の欄にチェックが入り、使用回数が記載されます。
※リフィル(refill)とは、“詰め替え”という意味です。
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リフィル処方箋の上限日数は?
法令上、リフィル処方箋の処方日数に上限は設けられていません。そのため、例えば「90日分を3回」といった形で処方することも制度上は可能ですが、実際にどの程度の日数・回数にするかは、患者の病状等を踏まえて医師が個別に判断します。
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リフィル処方箋の有効期限
リフィル処方箋1回目の受け取り期限は、通常の処方箋と同様に交付日を含めて4日以内です。
2回目以降は診察なしで薬局にて薬を受け取ることができますが、受け取り期間には決まりがあります。前回の調剤日を起点として投薬期間を経過した日が次回調剤予定日となり、その前後7日間のうちに受け取りに行く必要があります。
リフィル処方箋が期限切れになったら?
リフィル処方箋の有効期限が経過した場合は、医療機関を再度受診し、処方箋を再発行してもらう手続きが必要になります。次回調剤予定日をうっかり忘れてしまうと、期限切れにつながりやすいため注意が必要です。
電子処方箋を利用すれば、医療機関側で次回調剤予定日が登録されている場合は、マイナポータルでその予定日を確認できるため、期限切れによる再受診の手間を防げます。
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リフィル処方箋の対象疾患・対象外の薬剤
リフィル処方箋には、対象となりやすい疾患と対象外となる薬剤があります。
リフィル処方箋の対象疾患
リフィル処方箋の対象となる疾患には、以下のものがあります。ただし、これらの疾患であれば必ず発行されるわけではなく、あくまで医師が個別に病状を踏まえて判断します。
- 生活習慣病…高血圧、脂質異常症、糖尿病など
- 慢性疾患…アレルギー性鼻炎など
花粉症の治療薬についても、現役世代の通院負担を軽減する観点からリフィル処方箋の活用が促進されています。
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対象外の薬剤
投薬量に限度が定められている医薬品(新薬、向精神薬、麻薬等)や、湿布薬など一部の貼付剤はリフィル処方箋の対象外です。
湿布薬は1回あたりに処方できる枚数が63枚までと制限されており、枚数の上限管理が必要なため対象外とされています。無駄な大量処方による残薬を防ぐことは、医療費の適正化にもつながると考えられます。
リフィル処方箋の手引き|日本保険薬局協会
長期処方・リフィル処方せんについて当院からのお知らせ|厚生労働省
目薬は対象?外用薬とリフィル処方箋
点眼薬(目薬)や塗り薬は、医師が「リフィル可」と判断すればリフィル処方箋の対象となる可能性があります。
外用薬については現在のところ、点眼薬や塗り薬を一律に対象外とする規定は確認できません。「リフィル可」とするかどうかは個々の医師の判断によるため、必ず診察時に確認してください。
病院でのリフィル処方箋のもらい方
ここでは、病院でリフィル処方箋を発行してもらう流れと、薬局で調剤を受ける際の流れについて解説します。
対応している病院の探し方
かかりつけ医を含め、リフィル処方箋は制度上どの医療機関でも発行が可能です。ただし実際の発行率は全処方箋の0.07%程度(2024年11月診療分)と低く、医療機関によって対応状況に差があるのが実情です。
これから病院やクリニックを探す場合は、事前に医療機関へ電話等で「リフィル処方箋の発行に対応しているか」を確認しておくと、来院後に対応してもらえないという事態を避けられます。かかりつけの病院で利用したい場合は、診察の際に「リフィル処方箋を利用したい」と医師に直接伝え、対応可否を相談してみましょう。
医師が患者の病状などを踏まえて問題ないと判断した場合は、「リフィル可」の欄にチェックが入った処方箋を受け取れます。その後は、医師及び薬剤師の連携のもとで、薬局での調剤が進められます。
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薬局での流れ
調剤薬局では、通常の処方箋と同様にリフィル処方箋とお薬手帳、健康保険証を薬剤師に提示します。薬剤師からは、症状が安定しているか、リフィル処方箋による調剤に適した状態かどうかなどの確認を受けます。リフィル処方箋は、調剤1回ごとに次回の調剤予定日が記載された状態で患者に返却されます。
2回目以降は、リフィル処方箋に記入された予定日の前後7日間のうちに薬局へ行きます。薬を受け取る際には「前回の薬で体調に変化はなかったか」「飲み残しはないか」といった確認や服薬指導を受ける場合もあります。
リフィル処方箋の発行を断られた場合
医師によってリフィル処方箋が適していないと判断された場合は、発行を断られることがあります。患者自身は症状が安定していると感じていても、長期的な見通しを考慮する必要があり、状況は一人ひとり異なります。
処方箋の保管や調剤を受けられる期間に決まりがあるため、自己管理が行き届くかどうかも大切な判断材料です。最終的には医師の説明を受け、判断に従うことが基本です。
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リフィル処方箋のメリット・デメリット
リフィル処方箋には、通院負担の軽減といったメリットがある一方で、注意しておきたいデメリットも存在します。
リフィル処方箋のメリット
リフィル処方箋の最大のメリットは、通院にかかる時間や身体的な負担を軽くできる点です。受診の手間が減ることで、診察費用や交通費の削減にもつながります。
とくに勤労世代や子育て世代など、慢性疾患を抱えながら通院の負担を感じやすい人にとっては、必要な治療を継続しやすい仕組みといえるでしょう。
厚生労働省は「医療機関に通院し、状態が安定している高血圧症患者」を対象に次の試算結果を示しています。
| 受診パターン | 診療所への支払額 | 薬局への支払額 | 合計 |
|---|---|---|---|
| 月1回受診 | 約4,300円 | 約2,200円 | 約6,500円 |
| リフィル処方箋 | 約1,500円 | 約2,300円 | 約3,800円 |
| 長期処方(90日処方) | 約1,400円 | 約700円 | 約2,100円 |
※中央社会保険医療協議会総会(2023年11月22日)にて厚生労働省が示した試算結果(高血圧症患者・3カ月間の自己負担額)に基づく
試算結果を踏まえると、リフィル処方箋のメリットは、薬局への支払額よりも診療所など医療機関への支払額の削減効果が大きい点にあるといえます。個々の医療費が抑えられることは、社会全体の医療費適正化にも役立つでしょう。
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リフィル処方箋のデメリット
受診間隔が空くことにより医師による診察の機会が減り、病状の変化や副作用を見逃すリスクが高まる点はリフィル処方箋のデメリットといえます。
厚生労働省が実施した医師を対象とする調査でも「リフィル処方のデメリットとして懸念していること」という設問に対して次のような回答が寄せられています。
- 患者の症状の変化や副作用の見逃し(71.8%/最も多い回答)
- 患者の服薬管理への不安(51.5%/次に多い回答)
※厚生労働省「令和6年度診療報酬改定の結果検証に係る特別調査(令和7年度調査)長期処方やリフィル処方の実施状況調査報告書(案)」調査票設問3.⑳(医師調査、回答数400件)より。
副作用や飲み忘れといった服薬アドヒアランスの問題が、患者自身の自己管理に依存しやすくなる点にも注意が必要です。
またリフィル処方箋は複数回使用するため、紛失すると再発行の手続きが必要になり、保管の責任は患者側にあります。紛失によるトラブルを避けるには、電子処方箋の活用が有効です。
令和 6 年度診療報酬改定の結果検証に係る特別調査(令和 7 年度調査)長期処方やリフィル処方の実施状況調査報告書(案)|厚生労働省
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リフィル処方箋と長期処方の違い
リフィル処方箋は、同一の処方を複数回に分けて受け取る仕組みで、医師が使用回数(上限3回)や投薬期間を設定します。一方、長期処方は1回の処方で長期間分をまとめて交付する考え方で、患者は原則1回の調剤で一定期間分の薬を受け取ります。
リフィル処方箋は、慢性疾患で病状が安定し、外来受診を減らしても安全性が確保できる場面に向いています。長期処方は、一定期間の治療方針が固まり、定期的な薬の管理を簡素化したい場合に便利です。
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まとめ:リフィル処方箋の普及に向けて
リフィル処方箋の患者における認知度は十分とはいえず、制度開始から時間が経過しても、全処方箋に占める割合は低い状況が続いていることが課題として指摘されています。
制度の活用に当たっては、患者の通院負担を軽減する一方で、必要な受診や医師・薬剤師の連携がおろそかにならないようにすることが重要です。こうした課題を踏まえると、薬局が調剤ごとに患者の希望と状態を確認し、必要な場合には適切に受診へ戻す判断を重ねることが、制度への信頼性の向上につながると考えられます。
























