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【遠言近言】性別年齢別を無視しての判定基準に問題はないか。IT時代の健診の判断基準と保健指導への提言‐河合忠

2006年4月3日 (月)

河合忠(国際臨床病理センター所長・自治医科大学名誉教授)

 生活習慣病としての「内臓脂肪症候群」(2005年11月11日、厚労省はメタボリックシンドロームに代わる呼称として決定)の重要性を認識し、健康診断のあり方の見直しについて厚労省による検討が進んでいる。すなわち、「健康チェック」と「詳細健診」の2段階方式の導入である。しかも、これらの健康診断の結果から保健指導を徹底させたいとしている。確かに、従来の健康診断は“やりっぱなし”の場合が多かったので、健診結果に基づいて保健指導を徹底するという方針は大いに賛成である。

 それでは、健診結果をどのような基準で判定するのかについて、意見統一がなされていない。昨年、(財)予防医学事業中央会が、全国37支部の健診検査10項目について、73万7538名のデータを性別年齢階級別に基準範囲(健常者集団の95%を含む中央域)をパラメトリック法により求めた。その結果から、多くの検査項目で男女間はもちろん、年代別にも明らかに相違がある。

 例えば、50歳代女性の総コレステロール値の基準範囲は1540280 mg/dlである。他方、日本動脈硬化学会は、成人男女について一律に220 mg/dl以上を“高脂血症”とする診断基準値を公表して久しい。しかし、健康に生活しているわが国の50歳代女性の半数が220 mg/dl以上となり、“高脂血症”と診断されることになる。

 それでは、それらの更年期以後の女性が、男性に比して心筋梗塞などが多いかというと、そうではない。そうすると、検査を受けた人たちは220 mg/dl以上という診断基準値を“意に介さない”、あるいは“信用しない”という状況が生まれている。健康管理医の間にも疑問を持つ向きが少なくない。

 近年、性差医療が注目されており、一次性徴や二次性徴や性ホルモン類だけではなく、その他の幅広い代謝面での性差の解明が進みつつあり、性別年齢階級別基準範囲の意義を再認識する必要があろう。医療面でのIT化が進んでいる今日、正しく行われた大規模プロジェクトで得られた性別年齢階級別基準範囲をパソコンや携帯電話に表示し、自分の検査値がどの位置にあるのかを画面に表示し、毎回の数値がどのように変化し、それが近い将来どのような予後(危険度)を意味するか、などを簡単に表示できれば、全国民の健診への関心は大きく改善することが期待できよう。




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