厚生労働省医薬・生活衛生局長 鎌田光明
明けましておめでとうございます。年頭に当たり、本年の医薬品・医療機器等行政を展望し、所感を申し述べます。
新型コロナウイルス感染症については、昨年末、日本では「小康状態」とも考えられるものの、世界的にはオミクロン株の感染が拡大し余談を許さない状況であり、治療薬やワクチン、医療機器に対する期待は依然として高いものがあります。昨年は新型コロナウイルス感染症の治療薬やワクチンをはじめ、医療機器や各種検査薬などを優先かつ迅速に承認し、医療現場への供給に努めてきました。今後も最新の科学的知見を踏まえ、有効性・安全性等をしっかりと確認し承認するよう尽力していきます。
感染症の拡大等の緊急時において、国民の生命と安全を守るために必要な治療薬やワクチン等の早期実用化を可能とする緊急時の薬事承認のあり方については、ワクチン開発・生産体制強化戦略等に基づき検討を進めてきました。
昨年末の厚生科学審議会医薬品医療機器制度部会における取りまとめを踏まえ、必要な制度的対応を実施していきます。加えて、「コロナ克服・新時代開拓のための経済対策」に基づき、新型コロナウイルス感染症下においても継続的に医療を提供していただいている薬剤師・薬局への支援を引き続き実施します。
このほかにも、わが国の医薬品・医療機器等行政が直面する様々な課題に積極的に取り組んでいきます。
昨年は、医薬品の製造過程における品質問題に端を発した医薬品の安定供給が問題となりました。製造販売業者および製造業者の法令遵守体制の整備を義務化すると共に製造業者に対する無通告立入検査の強化、医薬品および医薬部外品の製造管理および品質管理の基準に関する省令(GMP省令)の改正、行政処分基準の厳格化などに取り組んでおります。引き続き、業界団体や都道府県など関係機関と連携し、医薬品の品質確保のための対策を推進していきます。
薬剤師・薬局については昨年、需給の将来予測や卒後研修などについての取りまとめを行いました。今後、薬剤師の判断と責任に基づき、初めての患者に対してもオンライン服薬指導が可能となるなど、薬剤師の責務や薬局のあり方については新型コロナウイルス感染症を契機として、医療環境の変化、情報科学技術の進展への急激な対応が求められており、将来を見据えた検討を進めていきます。