厚生労働省は、「輸血療法の実施に関する指針」及び「血液製剤の使用指針」の一部改正を行い、関係団体や学会に通知した。指針では、輸血の副作用の中で、最も重いものの一つである移植片対宿主病(GVHD)が、放射線照射血液を使用することによって予防できることを明記した。また、細菌感染が起こりやすい血小板製剤について、細菌混入に対するさらなる注意喚起を行った。
指針の改正は、昨年12月26日の「血液製剤等に係る遡及調査ガイドライン」の一部改正により、遡及調査の対象や、医療機関における輸血前後の保存検体量が改められたことを受けて行われた。
輸血後GVHDに関しては、有効な治療法がなく、一度発症すると致死率も高い。ただ、1998年に日本赤十字社から放射線照射血液製剤が供給されるようになり、00年以降、日本では放射線照射血液製剤による輸血後GVHDの確定症例の報告は1例もないことから、改正指針では「輸血後GVHDの予防策として、放射線照射血液の使用が有効である」と明確に記述した。
さらに改正指針では、血小板製剤の細菌混入に対する注意喚起も行った。血小板濃厚液は、その機能を保つために室温(20024℃)で保存されており、稀にに細菌汚染があった場合、細菌の増殖が早く、輸血による細菌感染症が起こることがある。実際、昨年は2例の細菌感染症が確認された。
そのため、室温で保存される血小板製剤については、輸血の実施前に外観検査として、バッグ内の血液の色調変化、溶血や凝血塊の有無、またはバッグの破損や開封による閉鎖系の破綻などの異常がないことを肉眼で確認することとした。