
鈴木喬氏
エステーは取締役会で、4月1日付で鈴木喬会長が社長に復帰する人事を取締役会で決議した。鈴木氏は取締役会会長と共に、代表執行役社長を兼務する。同社では「雇用情勢の悪化や消費意欲の低下等による景気後退が今後も進み、さらに不透明な厳しい経営環境が続くことが懸念される。こうした未曾有の難局を乗り越えるため、豊富な経験と実績のある鈴木会長を社長に復帰させ、経営体質の転換を図っていく」としている。なお、小林寛三社長は4月から取締役兼専務執行役として、「全社的な視点を持って、エステーのさらなる成長のために尽力していく」(同社)という。
鈴木喬新社長は、1935年(昭和10)年生まれ、74歳。98年に社長に就任し、07年6月から取締役会会長兼執行役グループ戦略担当を務めている。
今回の件について、鈴木氏は「この大不況に再登板ということになったが、私としては93094年の米国法人の整理売却、98年の社長就任時に続く3回目の危機対応ということになる。現在、100年に1度とされる予測不能のアクシデント(経済危機や景気低迷)により、最も注力しているエアケア(消臭芳香剤)の売り上げ不振、利益下落という状態に陥っている。極めて深刻な状況ではないが、何もしなければさらに悪化していく。小林社長は、個人と組織力を最大限に生かす“仕組みづくり”を進めてきたが、平時であれば問題はなかった。今後は、10年前の経営危機脱却の経験を生かし、スピードをもって改革を実行することで有事を乗り越え、『強いエステーの復活』を目指したい」とコメントした。