厚生労働省医薬食品局審査管理課は、「バイオ後続品の品質・安全性・有効性確保のための指針」をまとめ、4日付で各都道府県に通知した。指針では、新たな申請区分に分類されるバイオ後続品の開発を行う際に配慮すべき要件や、承認申請時に必要なデータなどを記載した。
指針では、国内で既に新有効成分含有医薬品として承認されたバイオテクノロジー応用医薬品を「先行バイオ医薬品」とし、バイオ後続品は「先行バイオ医薬品と同等の品質、安全性、有効性を有する医薬品として、異なる製造販売業者によって開発される医薬品」と定義づけた。その上で、適用範囲について、微生物や培養細胞を用いて生産または高度に精製され、一連の適切な分析方法により特性解析ができる遺伝子組み換え蛋白質、ポリペプチド及びそれらの誘導体並びにそれらを構成成分とする医薬品(例えば、抱合体)を対象とするとした。
バイオ後続品の開発においては、独自に製法を確立すると共に、新規遺伝子組み換え蛋白質医薬品と同様に、その品質特性を詳細に明らかにすることが必要とした。さらに、実証データなどを用いて、品質特性について先行バイオ医薬品と類似性が高いことを示すことを求めた。
バイオ後続品の同等性や同質性評価に当たっては、ICH”Q5Eガイドライン「生物薬品(バイオテクノロジー応用医薬品/生物起源由来医薬品)の製造工程の変更に伴う同等性/同質性評価」に準じて、理化学試験、生物活性試験、さらに非臨床・臨床試験データを組み合わせることにより評価すべきとした。
バイオ後続品では一般に、品質特性および非臨床試験結果のみで、先行バイオ医薬品との同等性・同質性を検証することは困難であり、基本的には、臨床試験により同等性・同質性を評価する必要がある。
そのため、臨床試験を行う際は、開発しようとしているバイオ後続品の品質特性、先行バイオ医薬品とバイオ後続品との品質特性・非臨床試験結果の比較に基づく同等性・同質性評価結果を考慮する。また、先行バイオ医薬品に関する文献などを含む種々の知見も考慮し、必要かつ合理的な試験をデザインし、先行バイオ医薬品と有効性・安全性が同等・同質であるかを評価することも求めた。
臨床試験による同等性・同質性評価は、得られたデータに基づいて次の試験をデザインし、ステップ・バイ・ステップで実施すべきもので、必要とされる臨床試験の種類と内容は、先行バイオ医薬品に関する情報やその特性によって大きく異なる。必要とされる臨床試験の範囲は、開発ステージで得られているデータに基づいてケース・バイ・ケースの対応が必要になるため、規制当局と相談することが望ましいとした。
バイオ後続品は、有効性の同等性・同質性が示された場合であっても、安全性プロファイルが先行バイオ医薬品と異なる可能性があるため、PK/PD試験によって同等性・同質性が示され、有効性を評価するための臨床試験を実施しない場合であっても、必要に応じて免疫原性の検討を含む安全性に関する臨床試験の実施を検討することも求めた。
バイオ後続品の製剤設計については、原則的に先行バイオ医薬品と剤形や投与経路が同一である必要があるが、有効性や安全性に影響を与えない限り、製剤処方が先行バイオ医薬品と同一であることは必須ではないともした。