アステラス製薬は16日、米バイオ企業「CVセラピューティクス」に対する株式公開買い付け(TOB)を終了し、買収提案を終結させると発表した。定時株主総会で取締役候補の推薦に関わる提案も行わず、デラウェア州衡平法裁判所に提起していた訴訟も取り下げる。敵対的買収に発展したアステラスとCVの攻防は、米バイオ企業大手のギリアド・サイエンシズという「白馬の騎士」の登場によって収束することになった。
アステラスは1月27日、CVに対して同社の全発行済み株式を1株当たり16ドルの現金で買収する提案を行っていたが、CVは一貫して提案を拒否し続けたことから、2月27日に敵対的買収に踏み切った。また、CVとその取締役が買収を妨害しないよう求める訴訟をデラウェア州衡平法裁判所に提起。さらに、取締役の推薦候補を推薦する株主提案を行う意向を示すなど、敵対的買収の姿勢を強めていた。
しかし、CVは12日、アステラスの提案を上回る、米ギリアドの1株当たり20ドルでの買収に合意したと発表。アステラスの出方に注目が集まっていたが、今回「ギリアド社による買収価格の水準は当社の株主価値の向上に見合わない」と判断。CVに対する敵対的買収の終結を決定した。
アステラスは、CVの買収によって米国市場での循環器領域の強化を目指していたが、今回、買収を断念したことで、戦略の再考を迫られることになった。
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