日本チェーンドラッグストア協会(JACDS)は毎年、業界推計「日本のドラッグストア実態調査」を実施している。同調査は2000年度に初めて実施され、毎年同じ方法で調査を行うことで、日本のドラッグストア業態の変化を明らかにしてきた。
このほど21年度版の結果が公表されたが、それによると、全国総店舗数は2万1725店舗(382社)となった。前年度から441店舗増と順調に増加しており、2万2000店舗への到達も目前に迫っている。
全国の総売上高(推定値)を見ると、8兆5408億円となり、初めて8兆円を突破した前年度から6.3%の伸びとなった。
近年は安定して5%前後の伸びを示しているが、18年度(6.2%)、19年度(5.7%)、20年度(4.6%)と比較しても、21年度の伸びが最も大きい。
JACDSの池野隆光会長は「最近の出店では、店舗面積が比較的大きい。大きいということはフードを扱うケースが多く、1店舗当たりの売上は大きくなる」との見方を示しており、今後も売上高のさらなる伸長が期待される。
カテゴリー別の売上高では、調剤・ヘルスケア(前年度比7.8%増)、ホームケア(8.7%増)、フーズ・その他(7.7%増)の伸びが際立つ。一方、ビューティケアは0.4%の減少となり、コロナ禍による巣ごもり消費や外出自粛の影響が各カテゴリーにおいて如実に表れた格好だ。
21年度のドラッグストアにおける調剤額も明らかになった。前年度に初めて1兆円を超えたが、その後も順調に拡大し、1兆1738億円に到達した。前年度比で9.8%の伸びを示しており、近年いずれも10%前後の高い伸び率を維持している。調剤医療費総額に占めるシェアは暫定値で15.6%にまで拡大した。
現在、全国総売上高8兆5408億円のうち、調剤の割合は13.7%という状況にある。この比率について池野氏は、自社のウエルシアホールディングスが約2割程度であることを例に挙げ、「全体としてもその程度までは上がっていくのではないか。まだ伸びていくと思う」と見通している。
JACDSは、25年度に10兆円産業を目標に掲げており、「(25年度の時点で)調剤額が2兆円となれば、比率は20%」と説明するが、「その数字を目指しているわけではなく、通過点だと言っていい」との考えだ。
個店薬局の承継問題やドラッグストア企業の薬剤師採用における非常に良い環境があることなどを背景に、仮に調剤市場7.8兆円が伸びていかなくても、ドラッグストアのシェアは高まるとの見通しも示している。
ドラッグストア業界全体の成長と共に、ドラッグストアにおける調剤の動向についてもますます注視していかなければならないだろう。