辞任を表明する松谷会長
日本医薬品卸業連合会の松谷高顕会長は、5月の総会で会長職を辞任することを発表した。後任には別所芳樹副会長を推すことを正副会長会全会一致で確認しており、常任理事会に諮って正式に決定することになる。松谷氏は、4期8年の会長任期での大きな出来事として、不退転の決意で臨んだ流通改善を挙げたが、卸として最悪の決算状況に陥った結果から、「忸怩たる思いで会長を去ることは残念」との心情を吐露すると共に、「より強力なリーダーである別所氏が会長を引き受けてくださることは、さらに流通改善に力を注いでいく決意の表れでもある」と述べ、卸業界を挙げた取り組みを加速させる姿勢を強調した。
医療用医薬品の流通改善に関しては、流通近代化協議会が終了した後、流通当事者が話し合う場がなかったが、流通改善に関する懇談会の設置を実現した。「流改懇によって、官民対話へもつながった。流通の現場で起きているいろいろな問題を話し合う場ができたことはよかった」と感想を述べた。
また、薬卸連が流通改善の総括をまとめたことを明らかにした。卸の課題とされた未妥結・仮納入、総価取引、一次売差マイナスの改善・解消の、いわゆる“三点セット”において、前2項目では一定の評価を得られたとしている。
売差マイナスの解消については、川上での取引でメーカーから仕切価が早期に伝えられたことや、0・600・7%の改善を評価する一方で、第2、第3四半期で割戻が上回った結果、最終原価が上がったところもあり「不本意な結果」だったと指摘。シェア争いや一部メーカーの数量だけを追求した、卸自身の姿勢にも猛省を促し、今年度の第2ラウンドに臨むべきだと主張した。
医療環境の厳しさも反映して、経営上は医薬品を1円でも安く購入したいため、コンサルタントや数字に強い経理系が窓口になっているところもある状況に対して、「医薬品は価値に見合った価格が必要であり、ここを理解した人が医薬品購入の現場を担ってほしい。処方がなければ医薬品は出ない。大量に安く購入する一般消費材とは違うことも、もっと広報していかなければならない」と、医薬品の特殊性を改めて訴えた。