米食品医薬品局(FDA)は5月20日、ヒト型抗ヒトIL-4/13受容体モノクローナル抗体のデュピクセント(一般名デュピルマブ)について、体重40kg以上の成人および12歳以上の小児患者の好酸球性食道炎に対する治療薬として承認したことを発表した。好酸球性食道炎治療薬の承認は、同薬剤が初めてである。
好酸球性食道炎は、白血球の一種である好酸球が食道の組織に集まる慢性炎症性疾患であり、嚥下困難や食物のつかえなどの症状が好発する。デュピクセントは、炎症反応経路の一部を阻害して炎症を抑制する作用を持つ。同薬剤はもともと2017年に、成人および6歳以上の小児を対象に、局所療法ではコントロール不良の中等症から重症のアトピー性皮膚炎に対する治療薬として承認された。その後、成人および6歳以上の小児の中等症から重症の喘息、および成人の鼻茸を伴うコントロール不良の慢性副鼻腔炎への追加維持療法へと適応が拡大されていた。
デュピクセントの安全性と有効性は、多施設共同プラセボ対照ランダム化二重盲検並行群間比較試験で確認された。同試験では、24週間の治療期間を2つ(パートA、パートB)設定。パートAとパートBで異なる患者を治療(デュピクセント300mg、またはプラセボを毎週投与)に割り当てて、別々に試験を実施した。有効性の主要評価項目は、24週間時点で食道の組織を用いて評価した好酸球レベルの所定値までの減少を達成した患者の割合と、患者評価による嚥下障害症状質問票(DSQ)での試験開始時からのスコアの変化量とした(0〜84点でスコアが高いほど症状が重い)。
その結果、所定レベルの好酸球減少を達成したのは、デュピクセント群ではパートA(42人)で60%、パートB(80人)で59%であったのに対して、プラセボ群ではパートA(39人)で5%、パートB(79人)で6%にとどまっていた。DSQスコアについても、デュピクセント群ではパートAで平均22点、パートBで平均24点改善していたが、プラセボ群での改善は、パートAで10点、パートBで14点であった。
デュピクセントで最もよく生じる副作用は、注射部位反応、上気道感染症、関節痛、ヘルペスウイルス感染症である。また、デュピクセントは、有効成分であるデュピルマブや同薬剤が含有する不活性成分に対して過敏症を有する人には禁忌である。
FDA医薬品評価研究センターの消化器内科部長であるJessica Lee氏は、「好酸球性食道炎に対する研究者や臨床医の知識が増えるにつれ、米国ではこの疾患の診断数も増えつつある。今回の承認は、増加する好酸球性食道炎患者にとって重要なアンメットニーズを満たすことになるだろう」と話している。
なお、デュピクセントの承認は、Regeneron Pharmaceuticals社に対して与えられた。(HealthDay News 2022年5月25日)
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https://www.fda.gov/news-events/press-announcements/fda-approves-first-treatment-eosinophilic-esophagitis-chronic-immune-disorder