
Photo Credit: Adobe Stock
米食品医薬品局(FDA)は5月4日、アルツハイマー病によるアミロイド斑を早期に検出する初めての臨床検査として、ルミパルスG β-アミロイド比(1-42/1-40)検査(以下、ルミパルス検査)を承認したことを発表した。本検査の対象は、認知機能の低下が見られ、アルツハイマー病やその他の原因について評価を受けている55歳以上の患者である。
アルツハイマー病は進行性の脳疾患であり、患者と介護者の双方が治療計画を検討するにあたっては、早期の正確な診断が重要となる。アルツハイマー病患者の脳には、アミロイドβと呼ばれる異常タンパク質が沈着してできるアミロイド斑が一貫して見られる。そのため、医師が患者の認知機能低下の原因を調べる際には、他の評価方法とともにアミロイド斑の有無を確認する。これまでアミロイド斑の検出には、時間も費用もかかりがちなPET(陽電子放射断層撮影法)検査が用いられてきた。
ルミパルス検査では、専用の検査試薬を用いて脳脊髄液(CSF)に含まれるβ-アミロイド1-42とβ-アミロイド1-40の濃度を測定し、その比率を評価することによって患者にアミロイド斑があるかどうかを判定する。判定結果は患者の臨床情報と合わせて解釈する必要があるという。
FDA医療機器・放射線保健センター(CDRH)のJeff Shuren氏は、「ルミパルス検査は、検査実施日のうちに脳内のアミロイドβの蓄積状態について、PET検査と同等の情報が得られる上に、放射線被曝のリスクもない。本検査は、患者の認知障害がアルツハイマー病によるものであるか否かを判定するための、新たな選択肢となるだろう」と述べている。
今回の承認は、アルツハイマー病神経イメージングイニシアチブ(ADNI)研究の検体バンクより入手した脳脊髄液検体292点を用いた臨床検査による安全性と有効性のデータに基づくもの。ルミパルス検査で陽性だった患者の97%にPET検査でアミロイド斑の存在が確認され、陰性患者の84%がPETスキャンでも陰性であった。
FDAは、ルミパルス検査では偽陽性および偽陰性の結果が出るリスクがあるため、「単独で用いるのではなく、他の臨床評価や追加的な検査を用いて治療法を決定することが重要である」と述べている。
なお、この検査システムの販売承認は、富士レビオ社傘下のFujirebio Diagnostics Inc.に対して与えられた。(HealthDay News 2022年5月6日)
More Information
https://www.fda.gov/news-events/press-announcements/fda-permits-marketing-new-test-improve-diagnosis-alzheimers-disease