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満足度低い癌治療薬‐HS財団が報告書

2009年04月03日 (金)

 ヒューマンサイエンス振興財団(HS財団)は、2008年度将来動向調査報告書として「がん医療の将来動向II‐先端技術の現状とがん医療への応用に向けて」をまとめた。調査結果からは、癌治療薬全体について、治療満足度や薬剤価格に対する費用対効果に対する満足度が極めて低いこと分かった。また、そうした状況を克服するための、創薬研究体制に限界が生じている現状を憂う意見も多く聞かれた。

 HS財団は厚生労働省から委託を受け、医療分野の将来動向調査を行い、毎年報告書をまとめている。08年度は07年度に続き癌医療を取り上げ、調査を実施した。

 調査では、癌医療における診断技術、治療薬、先端治療技術に焦点を当て、今後の動向や諸課題に関し、専門家にアンケートを実施した。調査項目は▽診断技術▽治療薬▽核酸医薬、遺伝子治療、ワクチン療法▽外部エネルギーを用いた治療技術の4種類、13項目。対象は医師379人(回収率67・3%)、薬剤師80人(80・0%)、企業13企業(69・2%)。調査期間は08年11月10日~12月14日。

 4種類の調査のうち、治療薬については「分子標的薬」「抗体医薬」「DDS」「予防薬、その他」について調査された。その結果、標準治療の現状については、「効果の持続」「治療効果(延命効果)」「効果が期待できる患者の選択」「患者のQOL改善」「副作用コントロール」のいずれにおいても、「まだ不十分」と「不十分」が合わせて約9割を占め、満足度が非常に低いことが分かった。

 分子標的薬の実用性については、イマチニブのように、一部の患者で有用性が認められているものを除き、「単剤としての治療効果」「効果が期待できる患者の選択」「標準療法への上乗せによる治療成績向上」「アジュバント、ネオアジュバント療法としての処方」「効果の持続」「副作用の軽減」などの点で、「まだ不十分」「不十分」との回答が8割を占めるなど、満足度は極めて低かった。

 臨床使用上の課題では、特に「薬剤価格」について、6割が「不十分」と回答。費用対効果の観点から「治療効果」の向上を期待する回答が多くを占めた。

 DDSの臨床使用については、「薬物のターゲッティング」「薬剤の血中安定性」「治療効果の増強」「副作用の軽減」「服薬コンプライアンス向上」「効果の持続」「投薬量の増加」「投薬前処理の不要化等による投薬法の簡素化」「難溶解性化合物の溶解」のいずれの項目についても、「まだ不十分」「不十分」をあわせると7割に上り、DDSの力不足も明らかになった。

 癌領域における予防薬では、「術後・治療後の再発予防薬」「高リスク群に対する予防薬」については、「大いに意義がある」「多少意義がある」が合わせて9割を占めた。特に、子宮頸癌予防のパピローマウィルスワクチンのような、高リスク群に対する予防薬の意義は高く評価された。

 癌治療薬全般では、薬剤価格に対し、治療満足度は全体に低い状態にあることが分かった。そうした状況を克服するための癌治療薬の創薬研究にも、限界が生じている現状を憂う意見が多数を占めた。




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