
関口社長
ヤンセンファーマの関口康社長は8日、都内で記者会見し、2008年度に目標の売上高1000億円(薬価ベース)を達成したことから、「09年は2次成長期のスタートライン」と位置づけ、さらなる成長に自信を示した。その上で、中型製品の新領域を開拓することで、抗精神病薬「リスパダール」など大型3製品に集中してきたビジネスモデルを転換し、将来のトップ10入りを目指す方針を明らかにした。
ヤンセンファーマの08年度業績は、売上高が決算ベースでは6・8%減の784億円となったものの、薬価ベースでは3・6%増の1003億円と目標の1000億円を突破した。癌疼痛治療薬「デュロテップパッチ」の単独販売に伴う在庫調整の影響が減収要因となったが、抗真菌薬「イトリゾール」の復活、抗癌剤「ベルケード」の大幅伸長を受け、薬価ベースでは増収を確保した。
主力の抗精神病薬「リスパダール」は、後発品と薬価特例引き下げの影響を受け、14・5%減の295億円。期待の癌疼痛治療薬「デュロテップパッチ」は、市場が伸び悩み、2・2%増の190億円にとどまったが、低迷していた抗真菌薬「イトリゾール」は、テレビCMをはじめとした大規模な疾患啓発キャンペーンが奏功し、7・3%増の192億円と復調の兆しを見せた。09年もさらなる行動喚起を促すため、2年連続でDTCを実施する。一方、新製品の全身麻酔用鎮痛薬「アルチバ」は42億円、抗癌剤「ベルケード」は63億円と大幅に伸長した。
今後、鎮痛・麻酔領域では「アルチバ」に加え、「フェンタニル注射液『ヤンセン』」の発売、非癌性疼痛の適応で申請中の「デュロテップMTパッチ」、第III相試験中の「トラマドール/アセトアミノフェン」配合剤が控えていることから、鎮痛・麻酔領域のラインナップを充実させる考えだ。
また、エイズ関連領域では、カポジ肉腫の適応を取得した再発卵巣癌治療薬「ドキシル」、プロテアーゼ阻害薬「ブリジスタ」に加え、1月には非ヌクレオシド系逆転写酵素阻害薬「インテレンス」を発売。さらに、ブリジスタはHIV感染症の初回治療で申請中となっている。
こうした鎮痛・麻酔領域、エイズ関連領域の製品群の充実を受け、関口氏は「これまでリスパダールなど、大型3製品に集中してきたが、中型製品の新領域を開拓し、新しいビジネスモデルに転換したい」と述べ、09年を2次成長期のスタートラインと位置づける考えを強調。将来的にはトップ10入りを目指す方針を打ち出した。