ハーバルセラピストなど育成
日本メディカルハーブ協会は、2種類の検定試験と5種類の資格認定講座を通じて、ハーブに精通した人材育成に注力している。昨年からは、オンラインでアロマテラピーやメンタルヘルスなどハーブの周辺領域に関する講座の提供も開始。受講者によるコミュニティ構築のほか、薬剤師による一次予防の提案など医療分野における活用も促したい考えだ。
同協会では、ハーブに含まれる成分を健康の維持・増進を目的に使用することを「メディカルハーブ」と位置づけ、メディカルハーブに関する研究活動、安全性・有用性の正確な情報発信などを行っている。
専門家の育成に向けた教育活動やハーブ療法に関する資格認定にも取り組んでおり、2種類の検定試験、認定校と認定教室が提供する講座を受講することで受験資格を得られる5種類の資格がある。
2種類の検定試験として、「ハーブ&ライフ検定」と「メディカルハーブ検定」を実施している。日常生活でハーブを活用するための基礎知識などをテキストで学習した上で、3月と8月の年2回行っている検定を受験し、合格者には合格証書が交付される。合格後、同協会に加入した人は各資格が得られる。コロナ以前は検定試験は全国の会場で実施していたが、現在は在宅受験型のオンライン試験としている。
講座を受講することで受験資格が得られる資格として、▽ハーバルセラピスト▽日本のハーブセラピスト▽シニアハーバルセラピスト▽ハーバルプラクティショナー▽ホリスティックハーバルプラクティショナー――の5種類を用意した。
ハーブ30種類と精油12種類に関する知識を習得し、家庭における活用方法をアドバイスする能力などを養うハーバルセラピストの講座を「入口」と位置づけている。ハーブショップや薬局などに併設された認定校・認定教室で、1コマ120分の各講座を受けることで受験資格が得られ、認定試験に合格すると各種資格を得られる。
ハーブショップに勤務する人や子育て中の主婦のほか、薬剤師の受講者も多く、5資格全てに合格した薬剤師もいるという。
金田太朗専務理事は「相談者の悩みに合わせてハーブをブレンドすることが本来のハーバリストのあり方だ。生涯学習を通じて実現できるプログラムを作りたい」と強調する。
全国各地から受講可能なオンライン講座にも対応している。5資格全てでリアルタイムで講師が指導するオンライン講座を行っているほか、幅広い基礎医学領域なども学習できるホリスティックハーバルプラクティショナーでは、録画視聴できるe-ラーニングも提供している。
新型コロナウイルスの感染者が急増した昨年下半期は全講座をオンラインで提供したものの、コロナ流行後の2年間でも半数程度は対面実施を維持した。金田氏は、「香り、色、味に関する実習ができないのは寂しいなどの受講者の声を聞いた。仲間がいないことはモチベーションにも関わるので、しっかりとした環境を作る必要がある」と語る。
そのため、「コミュニティづくり」を当面の課題に位置づける。金田氏は「孤立させず、どのようにより楽しめる場を作るか、受講者による座談会を開いて声を拾いたい」とした。
同協会は昨年7月、アロマテラピー、メンタルヘルス、運動、ペット向けハーブなどハーブの周辺領域に関する講座を時間や場所にとらわれずにオンラインで受講できる「オンラインアカデミー」を開設した。単発~4回程度で完結し、1年間で400~500人が参加。資格を取得できる既存の講座と同様に注力していきたい考えだ。
かぜ予防といった身体に良いイメージが定着するなど、同協会創設から23年間でハーブに対する理解が進んだことを実感する一方、金田氏は同分野での薬剤師の活躍を促す。「薬学的知識を持っているので、医薬品以外の方法で一次予防として活用する提案を担ってほしい」と期待を寄せる。
同協会も、医療従事者向けのハンドブックを作成するなどして医療現場の理解を深めたい考え。
日本メディカルハーブ協会
https://www.medicalherb.or.jp/