12講座で改訂コアカリに対応

木暮氏
薬学ゼミナール生涯学習センターは、2024年度に薬学教育モデル・コア・カリキュラムが改訂されるのに対応し、医療人としての薬剤師教育に本腰を入れる。今年度は12講座を予定し、医師の処方意図理解や薬剤師の臨床判断能力のスキルアップにつながる講座に加え、在宅医療での看取りや地域医療における多職種連携など新たなテーマも扱う予定だ。木暮喜久子センター長は、「改訂コアカリでは、同じ医療人として医学・歯学・薬学のコアカリの歩みを揃える方向性が示されており、医師に求められている“プロフェッショナリズム”という資質・能力が薬剤師にも求められてくる。他職種と連携し、多様な課題に対応できる薬剤師になれるようサポートしたい」と語る。
文部科学省の「薬学教育モデル・コア・カリキュラム改訂に関する専門研究委員会」では、コアカリの改訂に向けた検討が進められ、公表されている素案で薬剤師として求められる10の基本的資質・能力が位置づけられている。
木暮氏は、現在のコアカリとの違いについて、「薬剤師として身に付けておくべき10の資質は『6年卒業時に必要とされている資質』と定義されていたが、新たなコアカリでは『薬剤師として生涯にわたって研鑽し続けて獲得する資質・能力』へと変わっている」と説明した。
10の資質・能力は医学・歯学・薬学間で調整が行われ共通化されており、「プロフェッショナリズムという新たな資質が定義され、薬学独自の資質・能力は『薬物治療の実践的能力』のみとなった」と指摘する。薬剤師業務ベースではなく、多様な課題に対応できる医療人としての薬剤師教育が必要になり、「いろいろなところに目を向けて、教育内容を考えなくてはならない」と話す。
薬剤師に多角的な資質・能力が求められていることを踏まえ、同センターでは今年度も新講座を開設する。11月には、きいれ浜田クリニックの濱田努院長が在宅医療での看取りをテーマに講座を行う。在宅医療に進出する薬局が多くなり、看取りに立ち会う薬剤師も増える中で、薬剤師がどのような行動を取ればいいのか学べる機会を提供する。
「薬剤師に知って欲しい○○医の処方意図」シリーズでは、12月に診療内科医である池袋心療内科メディカルオーククリニック小川原純子院長が登場。発達障害や気分障害の処方意図を解説する。
来年1月には秋田大学医学教育学講座の長谷川仁志教授による地域医療に関する講座を行う。秋田のチーム医療について多職種との協働に関する現状を知り、地域でのタスクシフト/タスクシェアなどディスカッションを通じて地域で薬剤師が果たすべき役割を考えるというもの。
生涯学習講座とは別チャネルで、薬剤師の臨床教育を目的としたジャーナル「THINK CUBE(シンク・キューブ)」による認定薬剤師研修認定もスタートした。
中小薬局では1人薬剤師も多く、研修認定薬剤師を取得したくても勉強時間を確保できないとの課題がある。
シンク・キューブは書籍を読み、ウェブ問題演習とレポート記載による自己学習ツールで、自分の好きな時間に効率的に学習することができる。
オリジナルのe-ラーニングも準備しており、動画を視聴し、確認テストで一定の正答率を上げれば単位を取得できる。「定期購読プラン」など複数のプランを用意し、自分に合った好きなものを選択できる。
10月には改訂コアカリの動きに合わせて、薬学部教職員や薬剤師を対象にオンライン形式で薬学教育シンポジウムを開催する。
現状の薬学教育コアカリキュラムの状況や薬学教育のあり方を考える企画となっており、医学教育の最前線に活躍する医師や薬学部教職員などと医学教育の変遷からこれからの社会に求められる薬剤師の育成がどうあるべきか議論する。
薬学ゼミナール生涯学習センター
http://www.yakuzemi-shougai.jp/