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日本初の大規模化合物ライブラリー‐東大が十数万種のデータ公開

2009年04月16日 (木)

yakuji_photo
長野哲雄氏

 日本初の大規模公的化合物ライブラリーが、今月から民間企業を含む一般研究者に公開された。東京大学「生物機能制御化合物ライブラリー機構」(長野哲雄機構長、同大大学院薬学研究科教授)に集積された化合物が実費で提供されることになった。欧米では既に大規模な化合物ライブラリーが整備、活用されているだけに、日本初となる十数万種を超える大規模な公的化合物ライブラリーが公開されたことは、画期的な創薬研究、生命科学研究の進展の起爆剤として期待される。長野同機構長は本紙に対し、「疾患に関連する重要な蛋白質の機能制御化合物を生み出す、打ち出の小槌のようなもの。創薬につながる研究に発展させてもらいたい」と語った。

 同機構は、生命現象の解明・医学薬学・食品環境の3領域から選ばれた、蛋白質の構造と機能の解明に有用な化合物を収集し、それらを提供することによって基本的な生命現象の解明に貢献すると共に、難病克服・食の安全を通じ、国民生活に寄与することを目指して設立された。

 機構による化合物ライブラリーは、文科省委託事業「ターゲットタンパク研究プログラム」の一環として構築が進められてきたもの。このため、同プログラムに関わる研究者に対して、提供が行われてきた。

 近年の有機化学の発展で、生物機能を特異的かつ高感度で制御する有機化合物を論理的、合理的に分子設計し、合成することも夢ではなくなってきた。この化学的手法を用いて生命現象を解明するChemical Biologyは、米国を中心に新たな領域として盛んに研究が行われるようになっている。その基礎を支えるのが、“化合物ライブラリー”。

 従来、蛋白質の制御化合物を発見するためには、一つずつ化合物を作って評価することが必要で、効率が悪かった。その一方、日本の有機合成化学研究は世界のトップレベルにあり、多くの新規合成化合物が創製されているが、実質的には各研究室に死蔵されているのが現状。そのため、それら化合物を活用する公的化合物ライブラリーの創設が求められていた。

 そこで、化合物ライブラリーでは、予め十数種類に及ぶ化合物を整え、整理貯蔵し、民間企業を含む一般研究者の要望に応じ、実費負担で提供するシステムを構築した。ただし、利用結果は一定の期日までに、機構へ報告する必要がある。報告データの秘密は必要な期間守られる。

 既に、機構のライブラリーを用いて得られた制御化合物が、新薬のシードとして特許出願されるなど成果が得られており、公開によって裾野が広がり、ライフサイエンス研究の進展に寄与するものと期待される。

 長野氏談:化合物ライブラリーは、疾患などに関連した重要な蛋白質の機能を制御する化合物を生み出す、打ち出の小槌のようなものなので、今後、多くの研究者が利用することで、創薬につながるような研究に発展させてもらいたい。




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