◆日本感染症学会と日本化学療法学会が公表した「新型コロナウイルス感染症における喫緊の課題と解決策に関する提言」が波紋を呼んでいる。名指しこそないが、継続審議となった塩野義製薬のコロナ経口治療薬「ゾコーバ」の緊急承認を求めており、抗ウイルス効果の意義を強調している
◆第III相試験結果待ちの今、なぜ学会がこのような主張をするのか理解が難しい。症状改善効果の主要評価項目の未達成に触れないのはフェアでないし、審議会で提出された内容以上の科学的なデータも示していない。これでは納得性は低いだろう
◆批判を受け両学会は補足説明を出した。しかし、利益相反の問題以前に臨床試験で失敗した薬剤の意義を改めて主張しても意味がなく、何のための提言か疑ってしまう
◆そもそも提言は臨床試験の原則を理解しているのか疑問だ。後付け解析という禁じ手によるデータを認めてほしいと言っているのと同義で、公的な学会の信頼失墜につながりかねない。医学界を揺るがす問題になるかもしれないと心配になる。
「ゾコーバ」承認求める提言が波紋
2022年09月16日 (金)
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