第55回日本薬剤師会学術大会
座長
日本薬剤師会常務理事
荻野構一
宮城県薬剤師会
会田道玄
2025年からスタートする地域包括ケアシステムに向けて、医療から介護への切れ目のない対応が求められる中、医療、介護職種全てが取り組みを進めているところである。
薬剤師・薬局にとっても外来医療から在宅医療への切れ目のない対応を進めなくてはならない。薬剤師は他の職種と連携し、情報共有をしながら薬剤師サービスの提供が求められている。
このような社会背景を理解した上で、これまでの取り組みの充実や質的向上が喫緊の課題となっている状況を踏まえ、改めて薬剤師・薬局が担っていくべき在宅医療について議論をしていきたいと考えている。
本分科会では、厚生労働省医政局地域医療計画課外来・在宅医療対策室松下俊介専門官から「在宅医療における薬剤師への期待、そして未来」と題した基調講演をいただく。40年を見据えて、薬剤師・薬局の処方箋応需だけでなく、在宅医療への積極的な参加の重要性について解説をいただき、在宅医療における薬剤師・薬局に期待される主な役割について、国の立場からお話をいただけるものと考えている。
その後、日本薬剤師会の有澤賢二理事から「これからの薬局・薬剤師の在宅医療における栄養管理へのかかわり」として、特に高齢者における栄養管理をする上で、服用薬剤の副作用、相互作用等も考慮された栄養管理の必要性について提起をいただき、東北大学大学院医学系研究科緩和医療学分野の田上恵太氏から「住み慣れた地域で最期まで良く生きるために、各地域に必要なケアデリバリー体系とは」として、終末期医療において、地域ごとでケアデリバリーシステムやケアフローを構築していくべきなど、医療者が持つべきビジョンについてご提案いただく。徳島文理大学香川薬学部の川添哲嗣氏から「ACP(人生会議)とケアプランを踏まえた訪問計画書とは」として、ACP(Advance Care Planning)やケアプランの活用で、多職種が連携して医療、介護に関わる中で、薬剤師も真の意味での地域包括ケアにおけるチームの一員となることを提起いただく。
本分科会の講演、討論を通じて、25年にスタートする地域包括ケアプランの一員として、地域に求められる役割を確実に担えるより多くの薬剤師・薬局が医療・介護のリソースとなることを期待したい。
(荻野構一)