第55回日本薬剤師会学術大会
座長
日本薬剤師会理事
井深宏和
宮城県薬剤師会理事
松浦正樹
地域包括ケアシステムは、可能な限り住み慣れた地域で自分らしい暮らしを続けることができるよう、自立生活の支援が目的となっている。その実現に向けて、施設間や多職種の連携が重要であり、薬剤師は薬物療法を通じて患者の生活を支えていくことが大切である。そのために入退院でも途切れることのない薬物療法に関して継続した患者情報の管理が必要である。また、オンライン資格確認の運用開始により薬剤情報や特定健診情報を入手できるようにもなり、その活用も重要になってくる。
本分科会では、基調講演として東北大学医学情報分野中山雅春教授に「患者情報を活用した多施設・多職種連携に向けた取り組み-MMWINの経験から」と題し、みやぎ医療福祉情報ネットワーク(MMWIN)が異なる施設間での患者情報を共有する地域医療情報システムとしても稼働している点を生かし、病名や検査値を参照することにより、処方変更理由の把握や副作用防止のチェックに役立てられた取り組み等を含めご講演いただく。
鹿児島県薬剤師会沼田真由美常務理事から「鹿児島県薬剤師会『おくすり整理そうだんバッグ』の作成と入院時の連携への取り組み」と題し、おくすり整理相談バック事業を多職種間で協議し、多職種を通して残薬の整理に関わり、さらに入院前の残薬整理の実施に至る事例を紹介いただく。
福島県薬剤師会島貫英二副会長から「福島県地域医療連携ネットワーク『キビタン健康ネット』と薬局薬剤師業務」と題し、福島県医療福祉情報ネットワーク協議会が組織され、地域医療連携ネットワークシステム「キビタン健康ネット」の構築・運用が始まり、病院での診療情報、薬局での調剤情報を参照できる現状についてご講演いただく。
三豊総合病院薬剤部篠永浩副薬剤部長から「ポリファーマシー対策と地域連携の実践手法」と題し、入退院支援のフォローや地域連携室との情報共有、薬剤管理サマリ等を用いた連携のために地域連携担当薬剤師を配置した取り組み、またポリファーマシー対策として担当薬剤師を配置し、入院中のみならず退院後も継続するための連携についてご講演いただく。
本分科会では、入退院時の情報の共有だけでなく退院後の生活の中での患者情報の共有のため連携をどのような形で行っていくのか、それを薬物療法にどう生かしていくのかを検討していきたい。
(井深宏和)