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【第55回日薬学術大会】分科会の見どころ・聞きどころ 災害時の薬剤師の役割

2022年10月03日 (月)

第55回日本薬剤師会学術大会

座長
日本薬剤師会常務理事
荻野構一
宮城県薬剤師会会長
山田卓郎

 2011年に発生した東日本大震災ではそれまで私たちが考えていた災害対策マニュアルの多くは機能しなかった。誰一人として経験したことのない大津波による町の消失。ライフラインが喪失した、限りなくゼロに近いところから始まった支援活動からは様々な問題点が見えてきた。宮城県では薬剤師会、病院薬剤師会、医薬品卸組合、行政が各々の問題を洗い出し、災害時の対応を検討してきた。

 本分科会では、まず3人の演者から当時の活動から見えてきた問題点とその対策を紹介していただき、次に経験から得た対策と構築された関係性を生かし災害対応に当たった19年の台風19号豪雨災害での医療救護活動について、薬剤師会と行政の立場から発表いただく。また、台風19号豪雨災害で被災地にDMATロジスティックスチーム隊員として支援活動に参加した江川孝先生から、DMAT隊員から見た当時の薬剤師の医療救護活動について感想をいただき、災害時の医療活動を効率的に行うためには何が重要となるのかを考えたい。

 日本医師会が組織するJMAT(日本医師会災害医療チーム)はDMATとは異なり、急性期から被災地の地域医療が回復するまでの長期間に渡り医療支援を行う仕組みである。当初は原則として医師1人、看護師2人、連絡調整員1人で構成されていたが、現在JMAT宮城では構成員に薬剤師が配置されている。どのような経緯で薬剤師が構成員に加わったのかを宮城県医師会常任理事の登米祐也先生から説明していただき、加えてJMAT宮城の今後の活動方針や薬剤師会との連携のあり方などについてお話をいただく。

 東日本大震災の発生前、日本には54基の原発があり、日本で使う電力の30%前後を原子力で賄っていた。しかし、東京電力の福島第1原子力発電所の事故により、原発に対する不信感や不安感が強まり、原発の位置づけは大きく変わった。福島県薬剤師会では13年3月に「放射線ファーマシスト委員会」を設立し、放射線の知識を有する薬剤師(放射線ファーマシスト)の養成事業を行っている。その活動を紹介していただき薬剤師がどのように原子力災害に向き合わなければいけないのかを考えたい。また、女川原子力発電所が立地する宮城県では新たに原子力災害時の医療体制も整備され、安定ヨウ素剤の近隣住民への事前配布や避難等の緊急時配布など、原子力災害への薬剤師としての協力のあり方について宮城県震災復興・企画部原子力安全対策課の横田浩志課長から紹介いただく。

 最後に日本薬剤師会における災害対策について紹介いただき、分科会全体を通して今後の様々な災害に対応する上での心構えと、災害対策では何が重要になるのかを考えたいと思う。本分科会に参加していただいた皆様が災害対策や災害支援活動を考える一助となれば幸いである。

 (山田卓郎



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