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【医薬翻訳におけるAIの現状と課題】日本特許翻訳

2022年10月17日 (月)

セキュリティの高さが特徴‐医薬専用エンジン開発へ

本間氏

本間氏

 日本特許翻訳は、自社開発の統合翻訳支援サービス「ProTranslator」を民間企業や翻訳会社に提供し、コストを抑えながら迅速に精度の高い翻訳が実現するよう支援している。国内の自社データセンター、サーバーを自社社員が国際セキュリティ規格下で運用しており、秘匿性の高い文書の翻訳を安心して行える。機械翻訳(MT)を支援する3大ツールと連携し、「ProTranslator」上で翻訳作業を行えるのも特徴の一つ。その中でも「MemoQ」との連携をさらに進め、日本特許翻訳サーバー内で運用できるように開発を進めている。作業効率とセキュリティを高めるのが狙いで来年7月の開始を目指す。1~2年かけ医学文献データベース「PubMed」データを組み込み、製薬領域の需要を取り込む。

 同社の主力サービスは、民間企業の知財部、翻訳会社への「ProTranslator」の提供だ。同社売上は二桁成長を続けているという。成長は、高い秘匿性が求められる特許翻訳における同社のシステムと運用体制への信頼性の高さによるものと言える。

 原文を翻訳しやすいよう独自の前処理を行い、翻訳後の後処理を行う。この前後の処理を行うエンジンも独自だが、一連の作業を自社ツール、自社データセンター、サーバーの自社運用と自社完結体制で運用する。国際的情報セキュリティ規格ISO27001の認証も受け、セキュリティの高さは企業側に、翻訳の精度に加え安心を提供している。

 MTの支援ツールの御三家「Trados」「MemoQ」「Memsource(PhraseTMS)」いずれとも連携し、「ProTranslator」上で翻訳支援作業が行えるのも特徴だ。「MemoQ」については、オンプレミス版を同社サーバー内で運用し、支援ツールと機械翻訳を連携させてセキュリティの高い環境の中でMTを組み込んだ翻訳支援を行うことができるよう開発を進めている。

 製薬領域の翻訳では、より精度を高めるための取り組みを進めている。MTの精度は格段と高くなったとはいえ、医薬独自の表現や化合物の表記、医学・薬学の専門用語、上付き下付きの数字表記などの翻訳には課題がある。

 そこで同社は、翻訳の正確性を確保するため、顧客の翻訳資産(対訳や翻訳メモリ)によるカスタマイズエンジン構築と翻訳の前後の処理に力を入れている。前後処理では、誤って翻訳される可能性のある数字・記号等の表記を翻訳されないようにし、翻訳後に復元するものある。

 さらに、1~2年かけて医学文献データベース「PubMed」のデータをもとに医薬分野専用エンジンを開発する方針だ。「PubMed」は、医療従事者、製薬業界関係者には広く利用されている。データを取り込んだ医薬文献専用エンジンの開発により、医薬文献に関する翻訳精度が向上する。それにより製薬企業の持つ翻訳資産をもとにカスタマイズ翻訳エンジンを簡単に構築できるサービスとも合わせ、医薬業界への需要に応えていきたいとしている。

 本間奬社長は、製薬企業関係者に対し「製薬領域の特有の用語、表現に対応した医薬専用翻訳エンジンの構築を可能とすることに加え、化合物名などが間違って翻訳されないよう、化学情報協会との協力による化合物表記翻訳や数値・記号の誤訳対応の前後処理には特に力を入れており、正確性の確保に努めている。当社のシステムは高いセキュリティの中で運用しており、秘匿性の高い出願明細書をはじめ申請書類や開発計画書などの翻訳も安心して行うことができる」とメッセージを送る。

日本特許翻訳
https://npat.co.jp/



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