DPP‐4阻害剤をスルホニルウレア(SU)剤など、他の糖尿病用薬と併用することで、重篤な低血糖症状が現れる事例が発生したとして、厚生労働省医薬食品局安全対策課は、添付文書改訂を指示する通知を発出した。添付文書の改訂指示はDPP‐4阻害剤だけでなく、同じインクレチン療法に当たるGLP‐1受容体作動薬に対しても行われた。
対象となるのは、DPP‐4阻害剤のシタグリプチンリン酸塩水和物(販売名:ジャヌビア、グラクティブ)、ビルダグリプチン(エクア)、アログリプチン安息香酸塩(ネシーナ)と、GLP‐1受容体作動薬のリラグルチド(ビクトーザ)の4成分。
SU剤と併用すると、低血糖リスクが増加するため、SU剤の減量を検討することなどを、使用上の注意に追記する。シタグリプチンリン酸塩水和物については、グリメピリドとの併用時5・3%、ピオグリタゾンとの併用時0・8%、メトホルミンとの併用時0・7%で低血糖症が現れたことも周知する。
このほか通知では、抗TNF製剤のインフリキシマブ(レミケード)、アダリムマブ(ヒュミラ)、エタネルセプト(エンブレル)について、同剤を使用した小児や若年成人で、悪性リンパ腫等が報告されていることを使用上の注意に記載することも指示。
また、免疫抑制剤のタクロリムス水和物の経口剤、注射剤(タクロリムス、グラセプター)について、血圧上昇が現れた場合に降圧剤治療を行うよう求めると共に、重大な副作用として可逆性後白質脳症症候群、高血圧性脳症などの中枢神経経障害が現れることがあることなどを注意喚起する。
抗血小板剤のクロピドグレル硫酸塩(プラビックス)の重大な副作用に、血小板減少や横紋筋融解症を加えることも要請した。