フィリップス・ジャパンは11日、イメージングから読影支援までシームレスにAI技術でリンクした次世代ヘリウムフリーMRI「BlueSeal」を発売した。
同装置は、70cmワイドボアの1.5MRIシステムで、わずか7L(従来比0.5%未満)のヘリウムで安定した超伝導状態を維持する「BlueSealマグネット」を搭載している。従来、継続的に必要とされていたヘリウムの充填を不要とすることで、自然災害やその他の緊急事態でも迅速な復旧を可能となり、より持続的なMRI運用を支援する。
さらに、新たに搭載された「PowerSabe+」機能により、消費電力とCo2排出の抑制を図り、地球資源の保全に貢献し、医療機関による持続的な医療提供体制の確立を支援する。既に世界では1700台が稼働しており、災害時のリスクを抑えることが地震などの自然災害が多い日本でも多くの医療機関に導入されることにより、有事においても持続可能な診療の支援となることが期待される。
また同装置では、AI技術を活用した「SmartSpeed」および「SmartReading」の実装が可能だ。「SmartSpeed」AIは、画質向上と撮像時間の短縮を両立し、限られた時間なでも高品質な検査の実現が図れる。
「SmartReading」は、MR操作コンソールからクラウドベースのAI読影診療支援ソフトウェアへゼロクリックでアクセスし、解析レポートを操作コンソールのデータベースやPACSへ自動転送する。増加する診療数や多様化する撮像ガイドラインへの対応を支援し、進化するAI読影支援技術を臨床現場に円滑に導入するための新たなプラットフォームとして注目される。
同MRIは、標準化が求められるがん診断や、高齢社会におけるMRI検査需要の増加に対し、効率的に対応しながら検査品質の向上を図り、持続的なMRI検査体制の確立に貢献する。
MRIの高速化と高画質化を実現‐新たな高速撮像技術の販売も開始
フィリップス・ジャパンは11日、二つのAIエンジンを用いて、MRIの高速化と高画質化に必要な様々な技術を一つの再構成パイプラインに統合した、新しい高速撮像技術である「SmartSpeed Precise」の販売を開始した。
同技術は、Compressed SENSEやSmartSpeedなど、同社がこれまで開発してきたAI高速撮像技術に、新たにAI再構築エンジンをシームレスに統合した「Dual AI engin」を搭載した次世代の高速撮像技術。高速化と高画質化を同時に達成するため、様々なノイズに対するデノイジング技術、アーチファクト低減技術、ブラーリング低減技術を、最適化された一つの再構成パイプラインで実現する。
主な特長としては、Compressed SENSEの特長である繰り返しSENSEと最適化されたサンプリングパターンによって、高速化に伴い繰り返しアーチファクトの発生を抑えることが挙げられる。さらに、高速化を学習した一つ目のAIである「Adaptive-CS-NET」によって、特有なノイズに対してデノイジング処理を行い、高いSNRを維持したまま高速化を達成している。
また、二つ目のAIである「Precise Image Net]では、リンギングアーチファクト除去と高空間分解能化を実現する。従来のフィルター処理やゼロフィリングによって行われていた処理をAIに置き換え、従来よりも見かけの空間分解能を最大80%向上させ、さらなる高画質化が実現している。