東京理科大学薬学部薬学科の東恭平准教授、理化学研究所環境資源科学研究センターの鈴木健裕氏らの研究グループは、細胞増殖促進因子ポリアミンが翻訳開始因子eIF5A2の生合成を促進することを明らかにした。癌細胞の増殖はeIF5A2に依存しており、ポリアミンはeIF5A2が働きやすいようにリボソームの構成蛋白質の組成を変化させることも解明した。今回の研究成果から、癌特異的リボソームへのeIF5A2の結合部位が癌選択的な分子標的として有望と考えられた。
ポリアミンはウイルスからヒトまで全ての生物に存在する塩基性生理活性物質で、細胞増殖・分化に必須の因子とされている。生体内にはプトレッシン(PUT)、スペルミジン(SPD)、スペルミン(SPM)の3種が存在し、その恒常性は人の健康と密接に関係している。ポリアミンは塩基性物質であることから、酸性物質であるRNAなどとの相互作用を通じて多様な生物活性を示すことが分かっている。
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