市場調査会社のユートブレーンは、「世界の医薬品メーカーランキング2008」をまとめた。それによると、医療用医薬品の売上高ランキング上位10社のうち5社が増収、5社が減収と業績が分かれ、二桁成長を達成した大手メーカーはゼロとなった。同社は、「医薬品メーカーの全体的な成長期は終わり、成熟期に入った」と分析している。
売上高100億ドル以上のメーカーは、イスラエルのジェネリックメーカーで世界最大の「テバ・ファーマシューティカル」が加わり、19社となった。
トップの座は、0・6%の減収となったものの米ファイザー(441億7400万ドル)が堅守した。次いで、仏サノフィ・アベンティス(388億6300万ドル)は1・7%の減収ながら2位を維持。英グラクソ・スミスクライン(377億0500万ドル)も3位とトップ3の顔ぶれに変化はなかった。
ただ、大型買収を行ったファイザーと米ワイス、米メルクと米シェリング・プラウの売上高を単純合算すると、新ファイザー(631億9900万ドル)はトップの座をさらに強固にし、新メルク(426億6400万ドル)も一気に2位に浮上する計算となった。
国内勢では、武田薬品が「100億ドルクラブ」を維持し、昨年と同じ17位。次いで、アステラスが20位、第一三共が22位、エーザイが24位とほとんど変化がなかった。
上位10社の売上は、大型製品の特許切れが影響したファイザー、サノフィ・アベンティス、米ジョンソン・アンド・ジョンソン(J&J)、米メルク、備蓄用「タミフル」の減少とスイスフラン高が響いたスイス・ロシュの5社が減収となった。増収を確保した5社も一桁台の伸びにとどまっており、医薬品メーカーの全体的な成長時代が終わりつつあることを示唆する結果となった。
他の上位社ランキングを見ると、4位にスイス・ロシュ(361億0100万ドル)、5位にスイス・ノバルティス(356億4700万ドル)、6位に英アストラゼネカ(306億7700万ドル)、7位に米J&J(245億6700万ドル)、8位に米メルク(238億5000万ドル)と、上位8社の順位に変化はなかった。9位は米イーライリリー(192億8500万ドル)、10位が米ワイス(190億2500万ドル)と昨年と入れ替わった。
注目されるのは、スペシャリティー・ファーマの好調さだ。インスリンなど糖尿病薬を手がけるデンマークのノボ・ノルディスクが8・9%増で21位を維持。抗ウイルス薬に強い米ギリアド・サイエンシズが26・1増で27位、希少疾病薬に特化する米ジェンザイムが21・2%増の34位、英シャイアが24・0%増の42位とそれぞれランクアップし、専門メーカーの強さを示した。