【官民協議会が初会合】薬価方向性を今秋メド整理‐26年度改革への反映意図

2025年09月15日 (月)

「薬事日報」の紙面から

 政府は「創薬力向上のための官民協議会」の初会合を6月26日に開き、創薬エコシステム育成に向けた課題や改善策等を議論するワーキンググループ(WG)を設け、三つの議題を議論することを決めた。薬価が関係する「投資とイノベーションの循環が持続する社会システムの構築」から議論し、今秋をメドに中央社会保険医療協議会に報告する。残り2議題も含め、来年5月頃に議論の整理を協議会に報告する予定だ。

 日本製薬工業協会(製薬協)など製薬団体、大学教授など有識者、患者団体、内閣府や厚生労働省など関係省庁等で構成する協議会の初会合では、創薬エコシステムの育成に向けた課題や改善策等を具体的に議論するため、昨年5月に公表された「創薬力の向上により国民に最新の医薬品を迅速に届けるための構想会議中間取りまとめ」で示された▽わが国の創薬力強化▽国民に最新の医薬品を迅速に届ける▽投資とイノベーションの循環が持続する社会システムの構築――の3議題について、協議会の下にWGを設けることを決めた。

 WGの初会合は今月1日に開かれ、今秋の中医協への報告に向け、革新的医薬品の特許期間中の薬価やインセンティブ強化等を論点に議論することを確認した。次回会合では、後発品関係団体からヒアリングを実施する予定としている。WGの構成員は、有識者として大学教授、製薬業界団体、関係省庁とした。

 初会合では、先行的に議論する論点として、▽革新的医薬品創出に対するインセンティブ強化▽革新的医薬品の特許期間中の薬価▽長期収載品に依存するビジネスモデルからの脱却▽後発品産業の持続可能な産業構造のあり方――などを議論することを確認し、業界団体と有識者がこれらの論点に対する見解を示した。

 製薬協は、経済・物価動向等にも対応した医薬品市場の持続的成長、中間年改定廃止等による魅力ある市場の形成、予見性の高いシンプルな薬価制度構築を求めた。特に薬価制度については、革新的新薬収載時に原価計算方式を補足する形で柔軟な類似薬の選定による評価を求め、収載後は薬価が維持される「カテゴリー別薬価改定」の実施も必要とした。

 菅原琢磨構成員(法政大学経済学部教授)は、原価計算方式について画期的イノベーションの評価手法として不適切とし、同手法の薬価算定の適用範囲を狭めると共に、より多様な医薬品の価値を評価する手法開発と適用を求めた。

 また、費用対効果が大きく医療経済的にも比較的短期に社会的リターンが見込める場合に限り、別途基金等を活用した財政支援の枠組みも提案した。

(2025年6月30日、同9月3日掲載記事を改編)



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