【日立/エピストラ・ファーメランタ】医薬原料中間体「(S)-レチクリン」生産‐世界最大級収量とラボ実験回数最大73%減

2025年12月01日 (月)

 日立製作所と合成生物学スタートアップのファーメランタ、AIでライフサイエンス分野の研究開発支援を行うエピストラは27日、抗がん剤などの生産効率向上に貢献する医薬原料中間体「(S)-レチクリン」の、微生物を用いた培養条件の確立に関する課題解決を目的とした共同実証のうち、前半のラボスケール実証を10月に完了したと発表した。3社は今年度中に、パイロットスケールでの収量低下を抑制した生産の実証を実施する。

 今回のラボスケールの実証では、ファーメランタが開発したスマートセルを用いて培養実験を実施した。日立とエピストラは、スケールアップを見据えた条件設定のもと、「Epistra Accelerate」による最適パラメータの設定技術を活用し、11変数(温度、温度、pH、通気量、培地成分など)からなる約4300兆通りの膨大な条件の中から、60回の実験で最適条件を特定しました。

 その結果、(S)-レチクリンの収量が3.2g/Lから6.0g/Lまで向上し、また、ラボにおける実験回数を従来比で最大73%削減できたことを確認した。

 また、この取り組みは「AI×シミュレーション×スマートセル」による統合プロセスの実証であり、微生物を用いたバイオプロダクションとしては世界最大級の収量を記録している。(S)-レチクリンは様々な医薬品などの中間体であり、今回得た収量は、こうした化合物の安価な生産を可能とするものといえる。

 今年度中に実施するパイロットスケールでの実証では、日立の培養シミュレーション技術により、培養槽内の流動状態・酸素供給・せん断力分布を可視化・定量化し、スケールアップ時に変化する流動・酸素供給などの物理環境を解析や収量低下、品質劣化の要因を特定していく。この結果を用いて運転条件や槽設計を補正することで、スケールアップする際の収量の再現性を高めていく。

 日立のコネクティブインダストリーズセクターは、バイオ医薬の抗体ADCの量産工程において、培養シミュレーション技術をスケールアップに適用してきた豊富な実績がある。今後、今回の取り組みを通じて得た技術・知見・ノウハウを活用し、培養槽などのプロダクト(デジタライズドアセット)と培養シミュレーションから発生・収集するデータに、ドメインナレッジと先進AIを組み合わせたデジタルサービス「HMAX Industry」として展開していくことを目指すと共に、バイオ医薬や産業バイオなどの成長産業へ水平展開する「Integrated Industry Automation」に注力していく。

 将来的に日立は、、今回の取り組みで得られた技術や知見をもとに、顧客の生産性向上に向けた生産プロセス構築支援ソリューションを「Lumada 3.0」を体現する「HMAX Industry」として、北米をはじめとするグローバルで事業展開することを目指していく。


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