富士フイルムはこのほど、大阪大学、岡山大学、近畿大学、微生物化学研究会、九州大学の研究グループとの共同研究で、同社独自のAI創薬支援サービス「drug2drugs」の基盤技術であるAI-AAMを活用することで、既知の活性化合物をもとにした新たな活性化合物の探索・設計に有用なことを実証した。同研究では、AI-AAMにより、病原細菌の病原性や薬剤耐性に関わる蛋白質を標的とした新規阻害剤を発見した。
AI-AAMは、標的蛋白質を構成するアミノ酸と化合物の結合力を数値化し、蛋白質と化合物の結合力を予測する独自の「アミノ酸マッピング(Amino-Acid Mapping、AAM)記述子」と、安定した構造を持つ化合物を新たに設計する独自AI技術を組み合わせた同社独自の計算科学技術。
従来は必要だった標的蛋白質の詳細な構造解析を行わなくても、既知の活性化合物の構造式だけをもとに、新たな化合物を探索・設計できる。
近年、薬剤耐性菌の拡大が世界的な課題となる中、病原細菌の病原性や薬剤耐性の発現に関わる仕組みを標的とした、新たな作用機序の感染症治療薬の開発が期待されている。
今回の共同研究では、AI-AAMを活用し、病原性や薬剤耐性に関わる情報伝達の中心的な役割を担うヒスチジンキナーゼに対して阻害活性を有する天然有機化合物をもとに、約1200万種類の化合物を含むバーチャルライブラリーから候補化合物を探索した。
その結果、複雑な骨格・細胞毒性を持つ天然有機化合物とは異なる骨格を有し、人工合成が容易な阻害剤候補として714種類の化合物を見出した。さらに、その中から新規性の高い骨格を選出。それを合成展開した、わずか十数種の誘導体の中から、高活性なヒスチジンキナーゼ阻害剤を得ることに成功した。
このように、AI-AAMを用いて大規模な化合物ライブラリーから合成展開の候補を効率的に絞り込むことで、その後の誘導体合成を限られた数に抑えながら、高活性化合物の取得が実現した。
今回の研究成果は、標的蛋白質の詳細な立体構造情報が得られていない場合でも、既知の活性化合物を手掛かりに新たな候補化合物を探索・設計できることを実証し、AI-AAMの創薬研究における有用性を示すものといえる。
なお、研究成果は、抗菌薬研究分野の国際学術誌「The Journal of Antibiotics」に9月30日(日本時間)に掲載された。
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