
会見する吉田社長
東和薬品は26日、山形市内で記者会見し、上山市の蔵王フロンティア工業団地に建設している、新山形工場の概要について説明した。その中で、吉田逸郎社長は、「新山形工場は、ジェネリック医薬品(GE薬)の使用促進に向けて、生産設備の増強という意味で、最後の総仕上げ」との認識を示した。また、新山形工場を国際標準対応の総合製剤工場と位置づけ、将来的には欧米への輸出も可能な、製造品質体制を整備するとの方針を語った。
新山形工場は2011年8月に竣工、12年3月の生産開始を予定している。新山形新工場の完成で、既存の岡山工場、大阪工場の増産も含め、フル稼働で固形剤は約3倍の75億錠の生産が可能となる。吉田氏は「売上高1000億円に対応可能な安定供給体制を確保できる」と強調した。
新工場の敷地面積は10万8330m2。年間生産能力(2シフト制)は、内服剤が25億錠(錠剤・カプセル)、注射剤が5000万本(アンプル、シリンジ、バイアル、凍結乾燥品)となる。完成後には、現山形工場(上山市弁天)の全製品を新工場に移管。岡山工場で生産する注射剤は全て新工場に集約化し、現山形工場は13年末に閉鎖する予定。
大阪工場、岡山工場とも、内服剤の生産能力は約25億錠で、今後、同規模の生産能力を持った3工場で、バランスをとって生産していくことにしている。

建設中の新山形工場
新工場は、環境保護や省エネをはじめ、自然環境に配慮した景観設計を実現。工場内の照明を全てLED化するなど最新設備を整え、従来型の同規模工場と比べ、CO2排出量の16%削減を目指している。LED照明器具は、工場内に合計5000台以上を配置。中でも、高活性製剤エリアや無菌製剤棟などのクリーンルームには、同工場向けの専用LEDを特注する予定で、それによって従来の蛍光灯に比べ、3倍以上の長寿命化(6万時間)によるメンテナンス性も向上するという。
また、災害時のリスク管理として、無菌製剤棟への免震構造や固形製剤棟への制震構造を採用。停電時の自家発電体制、断水時の井戸水の有効利用など、安定供給に向けた生産体制を構築することにしている。国際基準のGMPや、ISPE(国際製薬技術協会)などのガイドラインを積極的に取り入れており、吉田氏は「国際標準に準拠した工場として、世界中どこに出しても通じるような品質の製品を作りたい」と話し、将来的に欧米への製品輸出も視野に入れていることを明らかにした。
外資との提携は否定
一方、吉田氏は、一部報道にあったインドの大手製薬企業によるM&Aについて、「外資系との提携は考えていない。これから日本市場でGE薬を普及促進していく中で、基本的には日本人の消費するGE薬は日本で生産し、供給したいと考えている。資金面も十分なので、外資系の資本を受け入れることはあり得ない」と改めて否定した。