厚生労働省は電子カルテや処方・検査オーダリングシステムのデータに基づいた医薬品安全対策を推進するため、薬剤疫学分析手法に関するガイドライン作りに乗り出す。同省が構築している医療情報データベース(DB)を使って研究者や製薬企業が医薬品のリスクを評価する際に役立てる。
海外では大規模な医療情報DBを医薬品の安全対策に応用する取組みが活発化しているが、日本は遅れをとっているのが現状だ。昨年だと2型糖尿病治療薬「ピオグリタゾン」による膀胱癌リスクをめぐる問題で、欧州やアメリカは各自のDBを薬剤疫学的に解析して対応を検討したが、日本は国内データに基づいて判断できる環境になかった。
こうした現状を踏まえて厚労省は昨年度から、東京大学病院など10カ所の拠点を中心に5年間で1000万人分の医療情報をDB化する事業を進めている。ただ、電子カルテやオーダリングのデータは、医薬品の安全対策を目的として作成したものではないため、分析の手法を整理する必要がある。