厚生労働省健康局は今年度から、癌領域で研究者主導の臨床試験を管理・運営するグループについて、中央機能を担う特定非営利(NPO)法人に対する財政支援に乗り出す。個別の研究に対して資金を補助する従来の事業と異なり、データマネジメント業務に着目してグループを統括する基盤を強化するのが特徴で、企業治験になじまない集学的治療の開発を後押しする。原則として1カ所当たり年間3000万円を上限に5事業程度を選定する。
化学療法・手術・放射線療法を組み合わせた癌の標準治療の進歩には研究者を中心とした臨床試験が欠かせない。ただ、短期的に実用化や適応拡大に結びつかない研究を、大学・病院・研究機関の研究者が個別に続けるのは資金的にも、症例確保の面でも難しいのが実態だ。
今年3月に「がん対策推進協議会」がまとめた「がん対策基本計画」の見直しに関する意見書では、研究分野の課題として「より効率的な適応拡大試験などの推進のため、2012年度より臨床試験グループの基盤整備に対する支援を図る」との指摘が出ていた。