最先端の医学・医療プログラム提供‐認定薬剤師研修制度
星薬科大学(東京都品川区)は2009年5月に薬剤師認定制度認証機構の認定薬剤師研修制度のプロバイダーとなった。翌10年4月から本格開講し、月に約2回の研修プログラムを提供している。同大の目指す生涯研修は、科学的根拠に基づくファーマシューティカルケアの実践であり、最先端医療にかかわる知識・情報を提供することに焦点を当てている。そのため講師は専門医、医学系研究者が中心であり、他の生涯研修に比べ異彩を放っている。
本格化した初年度に当たる10年度の単位発給者数は839人。以降、毎年増加し、昨年度は929人に達した。また受講者の「研修認定制度」への理解が進み、同大で研修認定を求める人数も増加しつつある。
薬剤師認定制度認証機構が認証している全国約20機関に限っても、独自の研修プログラムが展開されるが、同大のプログラムの特徴は、臨床系学会と連携し、高度な先端知識を取得できるようカリキュラム設定している点にある。
多様なカリキュラムの中でも、[1]がん治療・緩和医療専門薬剤師養成コース[2]日本肥満学会連携講座――がその典型といえる。「がん治療・緩和医療」に関しては、大学院講義連携講座(がん治療・緩和医療特別講義I)、大学院講義連携セミナー(がん治療・緩和医療特別講義II)とに分かれるが、このうち「連携講座」は臨床医による講義。「連携セミナー」でも臨床医による講演に引き続き、日本緩和医療薬学会認定薬剤師をチューターに据えたSGD形式での症例検討会が行われている。参加者からは病院や薬局の現場ですぐに役立つと好評だ。

亀井氏
亀井淳三氏(薬物治療学教授、イノベーションセンター生涯学習支援室室長)は「以前、明日の業務に役立つ内容を、と求められました。しかし、患者さんは自身の病気のことをネット、さらに最新文献まで読み知識を得ている可能性もあります。したがって、最新医学・医療の知識が明日の臨床に役立つと確信しています」と語る。
なお、学会との連携ということから、認定単位については、日本緩和医療薬学会の認定単位として選択、取得することも可能で、この点も受講者から喜ばれている。
さらに同様の形態で、日本肥満学会連携講座の受講は、同学会が進める生活習慣病改善指導士の認定試験にかかわる単位として取得することができる。
「今後、在宅で経腸栄養、中心静脈栄養が適正かどうか薬剤師がみる機会が増えると思います。生活習慣病改善指導士の資格を取らなくても、患者さんにアドバイスできる知識を得ることは重要です」と語る。
一方、実技研修コースでは大学の夏休み期間中、プレ実務実習施設を活用した無菌操作の研修が行われている。クリーンベンチ使用の基礎から輸液、抗癌剤の調整まで、少人数で実習するもの。「今ではすぐに定員がいっぱいになる状況です」という。
在宅医療への取り組みを始める前の下準備として受講するケース、中にはクリーンベンチを日常的に使用している病院薬剤師が、実習生を受け入れた際に「学生が習ったことを知っておきたい」との理由から受講した。九州など東京から遠く離れた地域から、同大での実技研修のことを聞きつけ、体験したいと参加したなど、受講する理由は様々だ。
夏休みに延べ2日間実施している。1回当たり定員は各12人、初級および、その先のアドバンス実習がそれぞれ行われる。
このほか、薬剤師生涯学習・講演会シリーズ、社会人大学院(夜間講義)講義受講コース、生涯教育講座、その他の講演会・研修会など多様だ。
認定申請に当たっては初回は4年以内に40単位(毎年5単位以上)以上の取得が必要。他機関での研修も単位認定されるが、40単位のうち半分以上は同大主催・共催事業での取得が要件となっている。目安としては3時間程度の講演が2単位に相当する。なお、更新は3年間で30単位以上の取得が必要。
今後は、日本緩和医療薬学会、日本肥満学会との連携に加え、他の臨床系学会とも連携した研修を充実させていく予定だ。また参加型の症例検討会、実技研修の評判が良いことから、座学型から何らかの形で参加型を取り入れた研修が増えていく可能性が高いという。
星薬科大学イノベーションセンター 薬剤師生涯学習支援室
http://www.hoshi.ac.jp/home/nintei/index.html