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厚生労働省の「薬害肝炎事件の検証及び再発防止のための医薬品行政のあり方検討委員会」は7月31日、中間報告を正式にまとめ、7日の前回会合でまとめきれなかった医薬品行政組織の見直しについては検討の論点を示し、秋以降の本格論議につなげた。
医薬品行政組織の見直しについては同省医薬食品局が、▽医薬品医療機器総合機構の業務を医薬食品局に統合(別組織もあり得る)▽医薬食品局の業務を総合機構に統合――の二つの案を提案。共に「最終的には大臣が全責任を負う」とした。また、薬害被害者側から提案されていた医薬品行政を監視する組織創設も、論点の一つに盛り込んだ。
見直し案をめぐっては委員間では様々な意見があり、論点を示すにとどめることになっていた。論点は次の通り。
厚労省への統合案:現下の公務員制度のもとで、定員、人材処遇等の制約がある。行政機関として権限を与えられ、独立性・中立性を確保されているはずであるが、これまでの薬害の発生の歴史を振り返ると、国民の安全を確保すぺき責務を十分果たしてきたかという批判があり、本委員会の設置理由はまさにこの点について再検討を加えることにある。定員増だけでなく、審議会、医薬品行政に対する外部からのチェック機能を持つ機関を含めて、組織の抜本的見直しが伴わなければならない。
総合機構への統合案:行政と離れて自由かつ迅速な科学的判断が可能であり、公務員制度のもとでの人材の採用、処遇、定員等の組織としての制約がなく、早急に実施しなければならない人員拡充という課題に応える柔軟な組織形態である。他方で、運営財源の民間資金の依存など民間企業との関係における独立性・中立性について課題があり、また、国とは独立の非行政機関が行う審査等に対して当該機関がどのような責任を負うことができるのか、その場合、国はどのような責任を負うのかなど、なお検討すべき課題が残れされている。
監視組織については、外部組織とすべきとの意見のほか、「外部組織では業務の実際を十分に把握することは困難である」として、「組織の内部で、第三者的な監視機能を持つべきとの意見もあった」と併記し、検討課題とした。
さらに中間報告には、安全対策を強化する緊急提言が盛り込んだ。国内の企業などからの副作用報告の精査を全報告に対し行うことや、薬効群ごとに医学・薬学・薬剤疫学・生物統計などの専門職からなるチームによる分析・評価など新たな対策を導入するため、安全対策に携わる担当者を最低でも現行の約5倍の300人以上に増強することが柱。同省は来年度予算要求への盛り込みを目指す。
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