甘利明行政改革担当相は24日、規制改革会議(議長:草刈隆郎日本郵船会長)に、医療機器の臨床研究用承認制度(日本版「IDE制度」)の創設、医薬品医療機器総合機構の機能強化など、ライフサイエンス分野の規制改革に関する検討テーマを提案した。年末にまとめる第3次答申に盛り込みたい考えで、厚生労働省などに規制緩和を求めていく方針。
甘利大臣が提案した規制改革テーマは、▽医療機器の臨床研究用承認制度の創設▽医工連携(医師とエンジニアの役割分担)を可能にする▽高度医療評価制度の積極的運用(臨床段階での保険診療の併用)▽総合機構等の機能・体制強化▽スーパー特区提案で要望された規制改革提案への対応――の五つ。
この中で、臨床研究用承認制度は、薬事法で承認される前の開発段階にある医療機器の有用性を、臨床で確かめられるようにするというもの。国内の医療機器産業の機器開発を支援することが目的。
現行の薬事法制下では、医療機器メーカーが薬事法上未承認の医療機器を臨床研究に提供する場合には、薬事法違反となる恐れがあるため、同会議は法律上明確化された制度の創設が必要としている。
また、医工連携では、自家移植再生医療に係る細胞培養・加工作業を、医師以外の技術者でも行えるよう医療法を改正することも求めている。現行の医療法等では、自家移植は細胞の採取から培養、移植に至る全ての過程が医行為と見なされ、作業が医師に限定されており、医師と技術者が役割分担して連携する制度になっていない。
産業界、ベンチャー企業が有する技術を生かすためにも、安全性等に関する審査を経た上で、細胞培養・加工作業に限り、医師が企業に業務を委託できるように、制度改革をする必要があるとしている。
こうした規制緩和に伴い、承認審査を担当する総合機構の機能・体制強化も求めている。同会議は「医薬品の審査員の増強は緒に就いたものの、医療機器、再生医療分野に関しては、審査員は質、量ともに圧倒的に不足している」と指摘。審査体制の拡充に向けた早急な検討が必要としている。
高度医療評価制度に関しては、今年4月から同制度が導入されたが、保険併用が認められたのは10月時点で1件と少ないため、同制度を積極的に運用することで、適用対象医療技術を拡大していく必要性を挙げている。
スーパー特区で、143件の提案があり、この中に再生医療、医療機器、バイオ医薬品等についての規制改革要望があり、迅速・的確な対応が必要としている。