日本の研究開発費が年々増加傾向にある中、「医薬品製造業」の2007年度の研究費は、06年度に比べ6・8%増と、他の製造業の中でも高い伸びを示していることが分かった。特に、基礎研究費や研究者1人当たりにかける研究費が製造業中トップで、積極的に研究投資をしていることが浮き彫りになった。総務省統計局が18日に公表した「2008年科学技術研究調査」結果から明らかになったもの。
調査は、日本の科学技術に関する研究活動状態を把握するため、企業等約1万3800件、非営利団体・公的機関約1200件、大学等約3500件を対象に行われた。回収率は、約82%(企業等約76%、非営利団体・公的機関約100%,大学等100%)。
その結果、07年度の科学技術研究費の総額は、06年度に比べ2・6%増の18 兆9438億円で、8年連続で増加。研究費の国内総生産(GDP)に対する比率も3・67%と、過去最高となった。主要5カ国との比較では、米国2・62%、イギリス1・78%を抜いて首位に立った。
自然科学に使用した研究費は、2・7%増の17兆5562億円で、研究費全体の92・7%を占めている。
研究実施主体別では、企業等が3・8%増の13兆8304億円、大学等が1・2%増の3兆4237億円、非営利団体・公的機関が3・6%減の1兆6897億円だった。
企業等の研究費では、「製造業」が12兆1796億円と最く、そのうち医薬品製造業は、6・8%増の1兆2537億円と高い伸びを示した。
医薬品製造業の研究費の内訳は、「基礎研究」に2346億円(構成比:18・7%)、「応用研究」に4049億円(32・3%)、「開発研究」に6143億円(49・0%)と、開発研究への投資が大きかった。
ただ、金額では開発研究が高い比率を示しているが、基礎研究費については全製造業の基礎研究費7647億円のうち、医薬品製造業が約3割を占めているおり、基礎研究にも重点が置かれていることも窺われた。
売上高に対する研究費の比率は、医薬品製造業では1・16ポイント増の12・11%を占めた。
企業等の研究関係従業者数は、0・1%増の62万人。職種別にみると、研究者が0・1%増の48万3700人、研究補助者が0・7%増の5万5000 人、技能者が0・2%減の4 万7900 人、研究事務その他の関係者が0・4%増の3万3400人だった。
中でも、産業ごとの研究者数については、「製造業」が 43万300 人と最も多かったが、0・1%微減した。医薬品製造業では、2万1300人で0・5%の微増だった。
企業等の研究者1人当たりの研究費は2・5%増の2859万円で、製造業は4・0%増の2831万円。医薬品製造業については、6・3%増の5884万円で、製造業の中で最も高額となった。