タブレットからも閲覧可能‐訪問先の質問に即時対応
日立社会情報サービスは、医療従事者に医薬品の安全性情報を伝達する業務に特化した「医薬品安全性情報利活用サービス」を製薬企業向けに提供している。安全性データベースに蓄積された国内外の医薬品安全性情報を営業部門(MR)から医療従事者に提供し、薬剤の適正使用に役立てる。要望があれば医師や薬剤師などにも同サービスを参照可能とし、医療現場から直接、安全性情報を閲覧することも可能だ。同サービスの開発に携わったスマートビジネスインテグレーション部の齋藤孝典氏は、「安全性情報が公開・活用されていることを関係者に周知することにより、さらなる安全性情報の収集につなげることができる」と述べ、リスクコミュニケーションを通じてMRの信頼獲得に結びつける。
同社は、約15年間にわたり製薬企業向けの安全性関連ソリューションを展開してきた。同サービスは2021年4月から提供開始。安全性データベースに蓄積された安全性情報の提供に特化したサービスとなっている。
製薬企業の所属部門にかかわらず、誰でもどこでも必要な時に情報を検索・分析し、参照できることが最大の特徴だ。アプリのインストールや設定が不要でネットワーク環境さえあれば、普段利用しているパソコンやタブレットのウェブブラウザで閲覧できる。
中でも、副作用情報の収集・提供を行い、医薬品適正使用の推進役として期待されているMRにとっては心強い味方となる。訪問先の医療従事者から質問を受けた際に、同サービスを活用することにより、速やかな情報提供が可能となる。
適切な情報提供を行うための機能も充実しており、製品や副作用、患者背景などの条件を指定すれば、必要とする安全性情報を入手できる検索機能を搭載した。新薬導入時に気になる「投与開始から副作用発現までの期間」や「副作用の持続期間」などの情報をグラフ表示でき、視覚的にも分かりやすい。
また、医療従事者への情報提供時に効果的だった検索条件を保存できるようにし、MR間で共有することで次の面会時に生かす。
一方、製薬企業のみの利用にとどまらず、要望があれば追加機能として、訪問先の医療機関の医師や薬剤師などにも同サービスの参照権限を付与できる。通常であれば、MRの訪問時に問い合わせをしなければ得られない安全性情報にも直接アクセスし、その場ですぐに情報を入手できる。検索機能を利用すれば、指定した疾患や症状に対して、他施設の治療記録を確認することもできる。
MRと医療機関の双方が主体的に安全性情報を収集・確認し、医薬品のリスクに関する共通認識を深め、信頼関係を構築していくサポートツールを目指している。
さらに、MR以外の安全性情報を扱う職種での活用も有効である。例えば、コールセンターのオペレーターが同サービスを利用すれば、問い合わせに対して即座に回答できるため、生産性の向上にもつながる。
一方、安全性情報管理(PV)部門は、MRからの問い合わせに回答するための情報収集の作業負荷が軽減され、より付加価値の高い活動にリソースを充てられる。当局への集積報告などに用いる資料の作成についても、同サービスの機能を活用できるため、業務効率化に寄与できる。
今後は1年間に2社ペースでの新規導入を目標に掲げている。スマートビジネスインテグレーション部の北川圭介氏は、「中小規模の企業だとMRを全国に配置できないケースもあると聞くので、医療従事者が直接情報収集できる点も踏まえると、導入するメリットは大きいのではないか」と述べ、売上規模を問わず幅広い製薬企業に導入してもらえるよう訴求していく方針だ。
日立社会情報サービス(医薬品安全性情報利活用サービス)
https://www.hitachi-sis.co.jp/sp/safety/index.html