米食品医薬品局(FDA)は10月12日、中等症から重症の活動性の潰瘍性大腸炎(ulcerative colitis;UC)の成人患者向けの治療薬として、スフィンゴシン-1-リン酸(S1P)受容体調節薬のVelsipity(一般名エトラシモド)を承認したことを発表した。推奨用量は2mgで、1日1回、経口投与する。
米国でのUC患者数は約125万人に上る。UCの主な症状は、血液と粘液が混じった慢性の下痢、腹痛、便意切迫感などだが、症状が慢性的である上に予測不能でもあるため、身体的な側面だけでなく、生活の他の側面にも影響を及ぼし得る。
Velsipityの承認は、1種類以上の従来の薬剤や生物学的製剤、ヤヌスキナーゼ(JAK)阻害薬による治療が無効または不耐容であったUC患者を対象としたELEVATE UC第3相登録試験プログラム(ELEVATE UC 52およびELEVATE UC 12)の結果に基づいている。ELEVATE UC 52で臨床的寛解を達成した患者の割合は、治療開始から12週目ではVelsipity投与群で27.0%、プラセボ投与群では7.0%(P<0.001)、52週目では同順で、32.0%と7.0%(P<0.001)といずれもプラセボ群を上回っていた。また、ELEVATE UC 12でも、臨床的寛解を達成した患者の割合は、Velsipity投与群での26.0%に対してプラセボ投与群では15.0%(P<0.05)であり、前者では、12週目に内視鏡的改善と粘膜治癒を含む、有効性に関する主要な全ての副次評価項目が達成された。
安全性に関しては、これまでの臨床試験で確認された内容と一致しており、最もよく生じた副作用(発現率が5%以上)は、頭痛、肝機能検査値の上昇、めまいであった。
Velsipityを開発したファイザー社で最高コマーシャル責任者兼グローバルバイオ医薬品事業プレジデントを務めるAngela Hwang氏は、「中等症から重症の活動性UCの成人患者は、良好なベネフィット・リスク・プロファイルを有し、1日1回の経口投与で済むVelsipityを使用することで、ステロイドを使用せずに寛解を得ることができる」と述べている。
Velsipityの承認は、ファイザー社に対して付与された。(HealthDay News 2023年10月17日)
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https://www.fda.gov/drugs/new-drugs-fda-cders-new-molecular-entities-and-new-therapeutic-biological-products/novel-drug-approvals-2023