日本臨床腫瘍薬学会学術大会が2、3の両日に神戸市内で開かれ、医師や薬剤師が抗癌剤の費用を抑制する方策を話し合った。神奈川県立足柄上病院薬剤科の原田知彦氏は、通常は体表面積で算出した投与量通りに抗癌剤を調製するが、薬物動態の個人差から10%以内の増減は可能として、投与量を製品規格単位に合わせることを提案した。全体的な投与量減や廃棄削減につながるという概念を「ゼロ・ウェイスト抗癌剤」と命名し、まずは2剤を対象に自施設で実行する計画だ。
体表面積で算出した投与量通りにバイアルから抗癌剤を抜き出し調製すると、残った分は廃棄され無駄が生じる。バイアル製剤を複数の患者で分割使用するDVOという手法はあるが、医療現場の経済的利点は乏しく、あまり広がっていない。こうした背景から原田氏は「残薬を減らすのではなく、発想を変えて残薬を出さないように工夫したらどうかと考えた」と語った。
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