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専門性強化が必須のドラッグ業界

2006年09月06日 (水)

 改正薬事法が施行されると、店舗に薬剤師がいなくても、登録販売者と呼ばれる新たな資質認定者がいれば、多くの大衆薬を販売することができる。これまで医薬品販売に関する規制緩和では、医薬品を医薬部外品にカテゴリー移行させて販売されてきたが、これからはコンビニエンスストアでも、まさに「医薬品」そのものの販売が可能になる。同業間の競争も激しいドラッグストア業界では、こうした動向も気になるところだ。 現在は試験内容など、登録販売者の要件が明らかになっていないため、各業種ともその行方を注視している状況だろう。大手ドラッグ企業も、薬剤師を常駐させることなく、人件費を抑えて24時間営業にも対応しやすくなることから、営業時間の切り替えを検討しているようだ。さらに今月からは酒類販売の規制が完全撤廃されたことにより、他業種との競合がさらに激化することは間違いない。

 こうした中で最近、ドラッグストアで目立つのが、付加価値を高めたプライベートブランド(独自企画開発)商品を強化する動き、そして調剤薬局併設の店舗を拡大していく動きだ。調剤を強化していくことで、健康関連商材を取り扱うドラッグストアの専門性をより強く打ち出していく。薬を含めた健康に関する相談が、固定客づくりにもつながるとの考え方で、“町のかかりつけドラッグストア”を目指す戦略である。

 ある中堅ドラッグチェーンでは先ごろ、数名の栄養士を新たに採用したという。これまでも社員として203人の栄養士はいたそうだが、主に店舗での販売業務に従事する中の一員であり、食事や栄養等について相談を受けた時に対応していた。今後は生活習慣病予防の関心が高まっていることもあり、食生活等のアドバイスや栄養指導などを充実させ、固定客の獲得を目指したいとする。栄養士を戦力としていく動きは、大手ドラッグチェーンでも見られ始めている。

 また、ドラッグストアの主要販売品目であるサプリメント(栄養補助食品)は年々、種類が豊富になってきた。購入時にその人に適したサプリメントの選び方や注意点を指導する専門家として、日本臨床栄養協会等によるサプリメントアドバイザー、日本健康・栄養食品協会の食品健康指導士などがあるが、こうした栄養補助食品に関する専門知識を備えた人材は、まさに今後の薬局、ドラッグストアにとって非常に重要な存在となるはずである。

 ドラッグストア業界団体の日本チェーンドラッグストア協会(JACDS)は、これまでヘルスケア、ビューティケア、ベビーケアの各アドバイザーを養成してきた。さらに昨年8月から開講した漢方アドバイザー養成講座の認定試験もこのほど実施され、今月には第1期の漢方アドバイザーが誕生する。新たなアドバイザーが加わることで、店頭サービスのさらなる向上が期待される。

 店舗数、売上高とも拡大傾向にあるドラッグストアは、医薬品を中心に健康食品、化粧品、生活雑貨、ベビー用品など幅広い商材を扱うだけに、他業態と競合する販売品目が多い。しかしスーパー、コンビニにはできないトータルな健康提案ができ、生活習慣病の予防等を提案できる場所としての期待も高い。ドラッグストアは、地域住民の健康保持に向け、新たな機能を探求する時代を迎えた。



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