厚生労働省が所管する14独立行政法人の業務実績に関する評価結果が出揃った。独立行政法人は業務の効率性・質の向上という観点から、中期的な目標管理と第三者による事後評価が求められており、毎年8月までに外部有識者から構成される各府省の評価委員会によって、業務実績の評価を受けることになっている。
評価は中期目標に基づき、[1]業務運営の効率化[2]国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上[3]財務内容の改善――という三つの大きな項目と、中期目標等に定められた個別項目が対象となる。そして、その評価結果を踏まえ、業務実績全体の状況を総合的に評価を受けるというのが業務実績評価の流れ。
今回まとまった評価結果で、医薬品産業と密接と関わるのは、医薬品医療機器総合機構と医薬基盤研究所だ。
このうち、総合機構は中期目標の第2年度の達成度についての評価された。具体的には、▽目標管理制度に基づく事業の遂行▽理事長のトップマネジメントによる組織体制の確立のための取り組みが進められていること▽学識経験者等による審議機関である「運営評議会」等の定期的な開催――などが着実に進展し、かつ有効に機能していることから、総合的には計画に照らし十分な成果を上げていると評価されている。
また設立後、課題とされていた人員不足についても、専門性の高い有能な人材の確保が進み、中期計画で予定されている常勤職員数の確保にメドがついたことで、計画に照らし十分な成果を上げつつあるとされた。
しかし、予定数の全てを充足していないとし、引き続き、積極的な公募による人材の確保に努めると共に、職員の資質や能力の向上を図るため、業務等の目標に応じた系統的な研修を実施し、人員体制のより一層の充実・強化が求められている。
一方、今回が初めての評価となった基盤研は、中核業務である基盤的技術研究、生物資源研究、研究開発振興に関しては、組織改正や移転に伴う体制整備を図りつつ、初年度としては十分な成果を上げ、目的である画期的な医薬品等の開発支援に資するもので、適切に業務が実施されたと評価された。
しかし今後は、▽質の高い研究員を採用して研究体制の充実を図る▽産官学の連携を図りながら、統合された研究所の利点を生かせるよう効果的に業務を実施すること――などの留意点も指摘された。
また個別評価をみても、両法人も評価項目の多くが「A」(中期計画を上回っている)という評定でもあることから、概ね業務実績については高く評価されたとみていいだろう。
しかし、これだけで終わっては何の意味もない。独立行政法人制度は、▽業務の効率性・質の向上▽法人の自律的業務運営の確保▽業務の透明性の確保――を図ることが大きな狙いだ。現実に、総合機構に対し製薬業界は、治験相談体制の大幅な充実と承認審査の迅速化を求める声が根強い。現に治験相談に関する個別評価は「B」(中期計画に概ね合致している)という評価であることから考えると、まだまだニーズに応え切れていないのが実情なのだ。
来年はさらに高い評価が得られるよう、一層の体制充実を図ってほしい。