第57回日本薬剤師会学術大会
座長
日本薬剤師会副会長
川上純一
埼玉県薬剤師会理事
吉川陽子
本分科会では、ジェネリック医薬品を中心とした安定供給の現状と今後の対策について、多くの皆さんに知っていただくことが企画の狙いである。昨今の供給問題には多様な原因や背景があり、その対応や解決に向けてそれぞれの立場で多くの関係者が関与している。厚生労働省においても複数の会議体や施策が同時に進められており理解しづらい点もあるので、ぜひお聞きいただきたい内容である。
基調講演として、厚労省医政局医薬産業振興・医療情報企画課の藤井大資先生から「医薬品の安定供給に係る現状と行政の取組み」について概説いただく。厚労省における医薬品関連業務の所掌は各局課に分かれているが(例:薬価は保険局医療課、製造・販売承認は医薬局医薬品審査管理課、製造・品質管理は医薬局監視指導・麻薬対策課)、同課では産業振興の観点から安定供給体制の確保や必要な環境整備などを担われている。医薬品の安定供給に向けては既に様々な施策も始まっており、基調講演を通じて問題点への本質的な理解を深めていただきたい。
その後は3演題の講演を予定している。日本ジェネリック製薬協会会長の川俣知己先生からは「後発医薬品の供給不安解消に向けた日本ジェネリック製薬協会の取組み」についてご紹介いただく。各々の個社の問題としてではなくジェネリック医薬品の業界全体として捉えて取り組まれている実状や今後の解決への見通しなどをぜひお伺いしたいと考える。
日本医薬品卸売業連合会の小牧広行先生には「後発医薬品の出荷調整に対する医薬品卸の対応」についてお話しいただく。流通業界においても大きな負担がかかっており改善に向けた取り組みなどを紹介していただく。日本薬剤師会からは森昌平副会長から「医薬品提供体制の現状と薬局・薬剤師の役割」と題して講演いただく。森副会長には中央社会保険医療協議会の委員として2024年度診療報酬・調剤報酬改定と薬価制度改革に携わられたこともふ踏まえて日薬として目指すこともお話しいただく。
医薬品の供給問題を単に現場の苦労話や不満にするのではなく、将来の医薬品政策・産業振興・適正使用に向けた建設的な議論にできれば幸いである。
(川上純一)