改正薬事法施行まで1カ月を切った8日、ようやく厚生労働省医薬食品局から、改正改正薬事法関連の局長通知が発出された。一般薬のリスク分類に応じた情報提供の方法を具体的に規定したほか、リスク別の陳列方法、店舗で医薬品を販売しない時間がある場合の「閉鎖」の方法も「新構造設備規則」により明記された。
一方、「医薬品新販売制度の円滑施行に関する検討会」で、未だ膠着状態が続くインターネット販売や漢方薬などの「郵便等販売」については、「第3類医薬品以外の医薬品を販売し、又は授与しないこと」とし、別途、経過措置を行うための「薬事法施行規則等の一部を改正する省令の一部を改正する省令案」につき12日付で、パブコメを求めている。
省令案は、薬局や店舗のない離島の居住者と、同一の医薬品を継続して使用する者に限定して、第3類薬以外の通信販売を、2年間の期限を設けて認めるという内容。
11日の検討会にこの案が諮られたが、意見交換では委員からの積極的な賛成意見は出ず、容認することを避けた。行政の責任としてパブリックコメントの手続きを経た後に、改めて検討会で意見を聞き、改正省令を交付し、6月1日からの改正薬事法の完全施行に間に合わせる。
意見募集は12日から18日までで、日本薬剤師会では既に「対面販売を原則とする今回の販売制度の改正の趣旨に鑑みて、経過措置については必要ないと考える。特に『離島居住者に対する経過措置』については、新たに医薬品を購入する場合にも適用されることになり、経過措置とは言い難く、強く反発する」と真っ向から反対している。他の検討会メンバーやグループからも、それぞれの立場から早々に意見が寄せられよう。
厚労省は11日の検討会で、「激変緩和のための措置。薬局のない離島だけは経過措置を設けさせていただきたい」というのが趣旨と説明。井村伸正座長もセーフティーネットを張ったものと理解を示した。そうなると、三木谷浩史委員が指摘した「“陸の孤島”を見捨てるのか」というのも頷けるところもある。厚労省は“地続き”を楯に、苦しい解釈を示した形だ。
こうした展開は、膠着状態が行政の思惑にも波及したという見方もできる。このままでは、どこに着地点が見出せるのかと疑問視する向きも多い。現に賛成、反対両派の検討会委員からも、検討会不要論が飛び出すほど、すっきりした結論が出ないのではなかろうか。
薬の販売方法は、約半世紀前の薬事法制定後、最近の医薬分業の進展による“薬局の変質”と共に、販売の実態は大きく変化してきた。時代に合わせた施行規則等の修正等も逐次行われてきた。複雑化し、国民に分かりにくくなった責任体制を、今回の大改正により整理したはずだった。が、急速に普及したIT技術によるネット社会の問題は、フォローし切れなかったともいえる。
デンマークでは、処方せん医薬品をネット利用で購入できるようになった。店頭で購入した場合と同様に相談(指導)を受けることができ、Webカメラなど活用されているという。安全性という面でOTC薬以上にシビアな問題も内在していよう。この際、ネット活用のあり方自体を別途、検討すべきではないか。